AI図鑑作成で遊んでみたが、ハルシネーションに注意が必要
AI図鑑作成で遊んでみたが、ハルシネーション注意

AIで図鑑風イラストを作成

AIが世の中を席巻している。確かに便利で、様々な遊び方ができる。今回は、図鑑っぽい図をAIで作成して遊んでみた。ライターの仕事がなくなるのか、生産性が上がって楽して儲かるのか、ご笑覧いただきたい。ただし、今回作成した図はかなり嘘が含まれているので、絶対にそのまま使わないでほしい。

先日、PCを新調した。10年ほど使ってキーボードが打ちにくくなったと思ったら、バッテリーが膨張しており、もう駄目だと覚悟を決めたからだ。そして愕然とした。メモリとSSDがこんなに高いのか。去年のうちに買っておけば良かった。値段が数倍になっている。結果、予算の倍近くかかってしまい、トホホである。

メモリとSSD高騰の背景

このメモリとSSDの高騰は、ここ数年でAIによる爆発的な需要が伸びたからである。どんな製品でも、じゃんじゃん買う人がいれば値段は上がる。当然のことだ。AIは今や学生がカジュアルに使い、「ちゃっぴー」など可愛い名前で呼ばれている。SNSでもAIが勝手に利用され、オフィスでもAI課金が行われるほどである。

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AIは確かに使うと便利で楽しい。私も最初は文章の校正に使っていたが、やたら直されすぎて自分の文章でなくなるので最近は使っていない。直すスクリプトを書くのも面倒だ。「どこでもサイエンス」で誤字や文章が飛ぶことがあるのは、私がAIを使っていないからである。また、ハルシネーション(もっともらしい根拠のない出力)も多く、調べものには便利だが、Wikipediaとどっこいどっこいだ。

科学計算でのAI活用

そんな中で楽しいと思うのは、各種換算などである。検算にはなるし、おおむね正しい。例えば、科学の式で有名なE=mc²がある。アインシュタインの特殊相対性理論で登場する、エネルギーと質量は等価であるという式だ。これに従い、太陽は質量を失いつつエネルギーを出し、我々はその恩恵を受けている。

1gの物質がエネルギーに完全に変換するとどれくらいか。1×10⁻³kg×(3.0×10⁸m/s)×(3.0×10⁸m/s)=9.0×10¹³Jと暗算できるが、位取りを間違えがちだ。これをGeminiにやらせると、「1gの質量は相対論に従うとどれくらいのエネルギー?身近な事例を添え、インフォグラフィックにしておしえて。物騒なたとえはやめてね。」と質問したところ、適切な回答が返ってきた。

しかし、東京ドーム全部をお風呂にしたら、というような質問になると、あちこちから数字を引っ張ってこないといけず大変だが、AIは簡単にこなす。ただし、東京ドームの容積がどこまでなのか分からず、スタンドまでお湯をはるくらいと注文すると、だんだん雑になってきた。最初の回答は図鑑に使えるレベルの元ネタになるが、後半は怪しい。

天体までの距離を計算

次に、よくある「主要な天体まで、歩くと何年?飛行機で何年?」という質問をCopilotで試した。太陽、いくつかの惑星、有名な恒星、銀河など合計7つほど挙げ、何光年離れているかを示し、歩き、自転車、新幹線のぞみ、飛行機での所要時間を図にするよう依頼した。結果は、フォントの修正がうまくいかず、デザインが日本の新幹線ではないが、自分で描くよりはましだった。課金しないといけないのか、むしろ人間のイラストレーターにお金を払った方が良いだろう。

気を取り直して、ChatGPTを使って太陽系の惑星と衛星の図を正しい縮尺で作成させた。一見良さそうだが、水星に勝手に衛星を作ってしまうハルシネーションがあった。また、土星の衛星の縮尺がおかしかったり、海王星の衛星トリトンがやたら大きく変形していたり、問題が多い。

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月面のクレーターマップ

少し高度なものに挑戦した。月の表面のクレーターの数と密度から、月面のどこが古くてどこが新しいかをマップにして示してもらった。ハルシネーションが入っており、このまま出されたら信じてしまいそうだ。注釈はあるが、タイトルが危険。ただ、クレーターの密度は正しい感じだった。

学術的に示されたものと比較すると、地図の図法が違うので比べにくいが、傾向が少し異なる。Unified Geologic Map of the Moon (USGS) によれば、まだ危ういところはあるものの、下図を描くには十分すぎる。科学番組のシナリオの絵コンテを作らせるなら良いだろう。私は何しろ絵が描けないので、引き続き色々遊ぼうと思う。

(東明六郎/科学系キュレーター)