政府、AI基本法を閣議決定 初のAI規制法、開発者に安全性評価義務
政府、AI基本法を閣議決定 開発者に安全性評価義務

政府は14日、人工知能(AI)の開発と利用に関する基本法(AI基本法)を閣議決定した。AI開発者に対し、リスク評価や安全性の確保を義務付ける国内初の包括的なAI規制法となる。政府は今国会への法案提出を目指しており、成立すれば2027年にも施行される見通しだ。

背景と目的:AIの急速な進歩に対応

AI技術、特に生成AIの急速な普及に伴い、偽情報の拡散やプライバシー侵害、雇用への影響などのリスクが指摘されている。政府は、こうした課題に対応し、AIの健全な発展を促進するため、法的枠組みの整備を急いでいた。法案は、AIの開発・提供・利用に関する基本原則を定め、具体的な規制は今後、政省令やガイドラインで詳細を定める方針だ。

主要な内容:リスクベースのアプローチ

法案の柱は、AIシステムをリスクの高低に応じて分類し、高リスクと判断されたAIには厳格な規制を課す「リスクベース・アプローチ」を採用している点だ。具体的には、医療診断、自動運転、雇用選考、クレジット評価など、人の生命・身体・権利に重大な影響を及ぼす可能性があるAIシステムを「高リスクAI」に指定。開発者に対し、事前にリスク評価を実施し、その結果を政府に報告する義務を課す。また、AIによる差別的な判断を防ぐため、データセットの偏りをチェックする仕組みも求められる。

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罰則と執行:違反には罰金も

高リスクAIの開発者が安全性評価を怠った場合、罰則が適用される。法案では、悪質な違反に対しては、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性がある。ただし、罰則の対象はまずは開発者に限定され、利用者に対する直接の罰則は設けられていない。政府は新たに「AI安全委員会」を設置し、規制の執行や事業者への指導・監督を行う予定だ。

国際的な調和と産業競争力への配慮

政府は、欧州連合(EU)のAI規制法(AI Act)との整合性を重視し、国際的なルールづくりを主導する狙いがある。一方で、過度な規制が日本のAI産業の競争力を損なわないよう、スタートアップ企業への支援策や、規制の「サンドボックス制度」も盛り込まれた。法案の検討過程では、経済界から「イノベーションを阻害しないでほしい」との声が上がっていた。政府関係者は「世界で最もAIを活用しやすい環境を整えつつ、安全も確保する」と説明している。

今後のスケジュール

政府は、今月中に法案を国会に提出し、秋までに成立を目指す。施行は公布から1年以内とされ、関連する政省令やガイドラインの策定はその後、順次進められる。与党内では、個人情報保護や著作権との関係についてさらに議論が必要との指摘もあり、今後の国会審議で修正が加えられる可能性もある。

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