日本企業のAI活用、導入率は3割未満-人材不足とコスト課題
日本企業のAI活用、導入率3割未満-人材不足とコスト課題

日本企業のAI導入、3割に届かず

日本企業における人工知能(AI)の導入が停滞している。経済産業省が2023年に実施した調査によると、国内企業のAI導入率は29.1%にとどまり、前年からほぼ横ばいとなった。政府は「2025年までに主要企業の50%がAIを導入する」という目標を掲げているが、現状はその達成が危ぶまれている。

導入障壁は人材不足とコスト

AI導入の最大の障壁は「専門人材の不足」で、回答企業の72%が課題として挙げた。次いで「導入コストの高さ」(58%)、「効果の見えにくさ」(45%)が続く。特に中小企業では、予算や人材の制約から導入に踏み切れないケースが多い。

また、導入済み企業でも、活用が一部の業務に限定されている実態がある。例えば、製造業では品質検査や需要予測にAIを使うケースが目立つが、営業やマーケティングなど顧客接点での活用は進んでいない。

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政府の目標達成には課題山積

経済産業省の担当者は「企業のデジタル化が前提であり、まずはデータの収集・整備が不可欠」と指摘する。AI導入には、質の高いデータが必要だが、多くの企業ではデータが散在し、活用できていない。政府は補助金や税制優遇で企業を後押しする方針だが、効果は限定的とみられる。

専門家は「AI導入そのものより、データを活用する組織文化の醸成が重要」と強調する。東京大学の松尾豊教授は「AIは道具に過ぎず、経営戦略と結びつけて初めて価値を生む。日本企業はまず、データドリブンな意思決定の習慣を身につけるべきだ」と述べている。

業界別の導入状況に差

業界別では、情報通信業が50.2%と最も高く、次いで金融業(41.5%)、製造業(32.1%)となっている。一方、小売業(18.3%)、建設業(12.7%)などは低調だ。業界によってAIへの投資意欲やデータの質に差があることが背景にある。

また、AI導入による生産性向上の効果は、導入企業のうち約6割が「ある程度効果があった」と回答する一方、「大きな効果」と答えたのは15%にとどまる。効果を最大化するには、業務プロセス全体の見直しが必要とされる。

今後の展望と課題

AI市場は拡大を続けており、2027年には国内市場規模が2兆円を超えるとの試算もある。しかし、日本企業の競争力強化には、単なる導入だけでなく、人材育成やデータ基盤の整備が急務だ。政府は2024年度から、AI人材育成のためのリスキリング支援を強化する方針で、企業の取り組みが問われている。

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