政府は、人工知能(AI)の開発と利用に関する包括的な規制法案を、今国会に提出する方針を固めた。複数の政府関係者が16日、明らかにした。法案では、AIシステムのリスクレベルに応じて事業者に評価と対策を義務付け、違反した場合には罰則を科すことを検討している。
リスク評価の義務付けと罰則
法案の骨子によると、AIシステムを「ハイリスク」「中リスク」「低リスク」の3段階に分類し、ハイリスクに該当するものについては、開発段階から利用段階まで継続的なリスク評価と管理体制の構築を義務付ける。具体的には、顔認識やクレジットスコアリング、医療診断など、人の生命や権利に重大な影響を与える可能性があるAIが対象となる見通しだ。
政府関係者は「AIの急速な進展に伴い、悪用や事故を防ぐためのルール作りが急務だ」と述べ、早期の法案成立を目指す考えを示した。罰則については、虚偽の報告や評価義務の怠慢に対し、行政罰や刑事罰を含む検討が進められている。
国際的な動きと日本のスタンス
この動きは、欧州連合(EU)が2024年に施行したAI規制法(AI Act)を参考にしたものとみられる。EUでは、リスクベースのアプローチを採用し、違反企業には全球売上高の最大7%に相当する制裁金を課す。日本政府は、EUの規制と整合性を取りつつ、日本の産業競争力を損なわないよう調整を進めている。
一方、米国では連邦レベルの包括的なAI規制法は成立しておらず、業界の自主規制に委ねる姿勢が続いている。日本の法案は、EUと米国の中間的な立場を目指すとされ、国際的なルール形成において主導的な役割を果たしたい政府の思惑も透ける。
事業者への影響と今後のスケジュール
法案が成立すれば、AIを開発・提供する企業には新たなコスト負担が生じる可能性がある。特に、スタートアップ企業など小規模事業者への影響が懸念されており、政府はリスク評価の簡素化や支援策を検討している。また、生成AI(チャットGPTなど)については、透明性の確保や偽情報対策として、AI生成コンテンツへのラベル表示義務も盛り込まれる見通しだ。
政府は、今国会への法案提出を目指し、与党内での調整を加速させる。今週中にも関連閣僚会議を開き、法案の詳細を詰める方針。野党側からは、プライバシー保護や表現の自由との兼ね合いを慎重に検討すべきだとの声も上がっている。



