政府は、人工知能(AI)の急速な普及に伴うリスクに対応するため、リスクの程度に応じて規制を段階的に課す新たな法案を、今国会に提出する方針を固めた。複数の政府関係者が17日、明らかにした。
法案の概要と目的
法案は、AIの開発・提供・利用に関し、リスクベースアプローチを採用。深刻な被害を及ぼす可能性が高い「ハイリスクAI」には厳格な規制を課す一方、リスクが低いものは自主規制を基本とする。これにより、安全性の確保と技術革新の促進のバランスを図る。
政府は、EUが2024年に成立させたAI規制法(AI Act)を参考に、国際的な整合性も考慮した枠組みを検討してきた。法案には、基本的人権の尊重や透明性の確保、説明責任の明確化なども盛り込まれる見通し。
規制の対象と具体的な内容
「ハイリスクAI」の対象として、雇用判断やクレジットスコアリング、医療診断など、個人の権利や安全に重大な影響を与える用途が想定される。これらに対しては、事前の適合性評価やリスク管理体制の構築、人間による監視の義務付けなどが検討されている。
一方、チャットボットや画像生成AIなど、リスクが比較的低いとされる「限定的リスクAI」には、利用者への明示的な通知やオプトアウトの機会提供など、緩やかな規制を課す。また、リスクが極めて低いAIについては、規制対象外とする方針。
罰則と施行時期
法案には、規制に違反した場合の罰則も規定される。悪質なケースでは、刑事罰や高額な課徴金が科される可能性がある。政府は、法案成立後、関連するガイドラインの整備や執行体制の構築を急ぎ、早ければ2028年にも全面施行する目標。
ある政府関係者は「AIの恩恵を最大化しつつ、リスクから国民を守る必要がある。国際的なルール作りにも積極的に貢献したい」と述べた。
今後の日程と議論
政府は、今国会への法案提出に向け、与党との調整を本格化させる。ただ、規制の範囲や厳格さを巡っては、産業界から「過度な規制はイノベーションを阻害する」との懸念も出ており、慎重な議論が求められる。
また、AIの急速な進化に対応するため、法案には定期的な見直し条項を設ける方向。政府は、将来的な技術動向を踏まえ、規制の柔軟な修正が可能な仕組みを目指す。



