認知科学者ドン・ノーマン博士はかつて「さてモーターを使うか、とキッチンへ向かう人はいない」と語った。冷蔵庫やミキサー内部ではモーターが動いているが、料理をする人はそれを意識しない。しかし技術業界の人間はついモーターに目を向けてしまう。この言葉は、AIを「技術」から「道具」へと変えるサービス、Genspark(ジェンスパーク)の本質を理解する上で重要な示唆を与える。
AIの新フェーズ:モデルから道具へ
現在、ニュースを賑わすAIは、オープンAIのGPT-5.6 Sol、Terra、Luna、アンソロピックのClaude FableやOpusなど、フロンティアモデルと呼ばれる最先端のAIモデルだ。しかし、これらを使いこなしているのはAIに精通した少数派に過ぎず、大多数の人はまだAIを活用できていない。
AIの世界は今、新しいフェーズに入りつつある。AIモデルはモーター、つまり裏方の部品となり、それを基に作られた道具——生活や仕事で役立つAI世代の道具——が主役となる。これにより、AIに精通した一部の人だけでなく、すべてのビジネスマンや生活者が日常的にAIを使いこなす時代が到来する。この秋登場予定のApple Intelligenceも、技術を意識せず道具として使えることに焦点を当てたAIの一例だ。
Genspark:70種類以上のAIモデルを統合
企業向けソフト史上最速級の成長を遂げているGensparkは、ChatGPTやClaudeとは異なり、自社のAIモデルに依存しない。Gensparkは70種類以上のAIモデルを用途に応じて使い分け、仕事で使える成果物を作成するのが特徴だ。これにより、ユーザーはAIの技術的詳細を気にせず、目的のタスクを完了できる。
Gensparkは「中立なAI」として設計されており、特定のモデルに偏らず、最適なモデルを選択してタスクを実行する。このアプローチにより、初心者でも使いやすい道具を目指している。
法人向けサービスとタスクエンジンへの進化
Gensparkは法人向けのサービス設計も重視しており、検索エンジンからタスクエンジンへと進化している。単に情報を検索するだけでなく、任務を高いレベルで完遂するエージェント型AIとして機能する。例えば、レポート作成、データ分析、企画立案など、具体的な業務を自動化する。
口コミで広がった人気は日韓で特に火がついており、「AI for the rest of us」というコンセプトが支持されている。創業者は漫画好きの若い起業家たちで、勢いあるAI会社として注目を集めている。
今後の展望
Gensparkのようなサービスは、AIを「技術」から「道具」へと変えることで、誰もがAIを活用できる未来を切り拓く。ドン・ノーマン博士の言葉を借りれば、AIモデルという「モーター」を意識せず、自然に道具として使える日が近づいている。



