ウクライナや中東などで相次ぐ戦争の技術革新により生まれた「新しい戦い方」では、主力兵器となったドローンと並んで人工知能(AI)の活用が重視されている。人工知能を専門とし、防衛省の有識者会議「防衛科学技術委員会(DSTB)」委員も務める石塚満・東京大学名誉教授は、AIの活用が進む一方で、重大な局面での最終判断は人間が行うべきだと指摘する。
「新しい戦い方」でAIが重要になった理由
「新しい戦い方」で主力兵器となるドローンには、目標を探知して攻撃したり、相手のドローンを迎撃したりする能力の強化が求められている。その際にAIの技術が極めて重要な役割を果たすようになると石塚氏は説明する。
防衛AIの活用は米国が最も進んでいる。特に米軍が重要視しているのが、AIによる指揮統制支援システムだ。データ解析企業パランティア・テクノロジーズなどが開発を主導しており、宇宙空間の衛星や情報機関から得た大量のデータを統合して作戦を立案する役割を担う。米軍はすでに現在の対イラン軍事作戦でこのシステムを活用している。
日本の防衛AI、なぜ「国産」が必要?
日本も防衛分野のAI開発の必要性は認識しており、防衛装備庁内で個別研究に取り組んでいる。ただし、防衛AIを中心に扱う機関が存在しない。装備庁内に司令塔となる組織を整備し、AI技術の研究と運用を一体的に進めていく必要があると石塚氏は指摘する。
米国における防衛AIは、蓄積されたデータと高度な技術基盤の上に成り立っている。日本が防衛分野でAIを活用するには、独自の研究開発体制の構築が求められている。