厚生労働省は2026年度から、介護現場における人工知能(AI)の活用を本格的に推進する方針を固めた。介護職員の業務負担軽減や生産性向上を目的としており、2025年度中に具体的な導入ガイドラインを策定する予定だ。
介護現場の課題とAI活用の狙い
介護業界では慢性的な人手不足が深刻化しており、厚生労働省の試算では2025年度には約23万人の介護職員が不足すると見込まれている。こうした状況を打開するため、AI技術の導入による業務効率化が急務となっている。具体的には、介護記録の自動入力、シフト管理の最適化、利用者の状態変化の予測など、AIの活用が期待されている。
厚生労働省の担当者は「AIを活用することで、介護職員がより利用者と向き合う時間を増やせるようにしたい」と述べ、単なる省力化ではなく、ケアの質向上にもつなげる考えを示した。
ガイドライン策定のスケジュール
同省は2025年度中に、介護現場でのAI導入に関するガイドラインを策定する。ガイドラインでは、AI導入の目的や効果、プライバシー保護のためのデータ取り扱い基準、導入時の注意点などを盛り込む予定。また、中小規模の事業所でも導入しやすいよう、低コストで運用可能なシステムの事例紹介も検討している。
2026年度からは、ガイドラインに沿った実証事業を開始し、効果検証を経て全国の介護施設への普及を図る。実証事業では、AIによる業務効率化の効果を定量的に測定し、導入コストと効果のバランスを評価する。
業界の反応と今後の展望
介護事業者からは歓迎の声が上がる一方で、導入コストや職員のリテラシー向上などの課題も指摘されている。全国老人福祉施設協議会の幹部は「AI導入は待ったなしの課題だが、現場の理解を得るための研修やサポート体制も同時に整備してほしい」と要望した。
厚生労働省は、2026年度の実証事業の結果を踏まえ、2027年度以降の本格導入に向けた補助制度の創設も検討する方針。AI技術の進展に伴い、介護現場のデジタル化は今後さらに加速すると見られる。



