AIエコシステムは、半導体、データセンター、クラウドといった複数の階層で構成されている。特に下層では、GPUやCPUの製造を担う限られた企業が大きなシェアを握っており、その変化は上の階層に影響を及ぼす。
AIの性能を決める半導体とデータセンター
AIモデルの性能は、クラウドサーバーの規模と性能に依存する。その基盤となるのが最新の半導体であり、中でもGPU(グラフィック・プロセッシング・ユニット)は大量の並列計算を得意とする。GPUを用いることで、CPUのみの場合に比べて10倍から100倍の高速計算が可能になる。
ただし、GPU単体では処理が完結せず、多数のGPUを制御するCPUが重要な役割を果たす。半導体製造は世界でもごく限られた企業に集中しており、GPUの9割以上をNVIDIA、最先端CPUの製造では台湾のTSMCが圧倒的なシェアを誇る。さらに、半導体製造装置もオランダのASMLなど数社が世界市場を支配しており、その一角を日本企業が担っている。
身近な影響と構造理解の重要性
AIエコシステムの下層の変化は、すでに身近な影響を及ぼしている。PC向けメモリの不足と価格高騰はその典型例で、巨大なデータセンターが半導体を大量に消費するため、PC用メモリの生産が圧迫されている。
こうした影響は避けられないが、構造を知ることで事前に備えるなどの対応が可能になる。構造を理解せずにいれば、価格高騰などの変化をただ受け入れるしかないが、理解していれば柔軟な対応ができる。



