米ベンチャー企業ラディカルニューメリクスは20日、AI(人工知能)で設計したウイルスを、病気の治療のために世界で初めてヒトに使った、と発表した。抗生物質が効かない薬剤耐性菌に感染した患者に投与した。
プライバシー保護のため治療結果などは明らかにしておらず、論文は未発表だが、AIの医療利用の新たな一歩になった可能性がある。
AIで設計したファージを患者に投与
発表によると、ラディカルニューメリクスは、細菌を殺すウイルスである「ファージ」をAIで設計した。命の危険があり、代替治療法がない患者に対し、米食品医薬品局(FDA)が特別に承認前の治療法を使うことを認める「コンパッショネート・ユース(人道的利用)」の下で投与した。
薬剤耐性菌に対し、自然界にある様々なファージを使って治療する方法は実用化されている。今回は、DNA配列を学習させた独自開発のAIモデル「Omnii―1」を使い、特定の細菌を標的にして生存可能なファージのDNAを設計。そのDNAをもとにたんぱく質を発現させ、新たな患者専用のファージをつくったという。
今後の展望と課題
ラディカルニューメリクスは、サイエンス論文のメンバーが関与しているとみられる。治療結果や詳細なデータは公開されておらず、今後の論文発表や追加の臨床応用が注目される。