ADHD治療用アプリが保険適用、ゲームで症状改善へ
ADHD治療用アプリが保険適用、ゲームで症状改善

注意欠如・多動症(ADHD)の子どもを対象とした治療用アプリ「エンデバーライド」が2026年6月、公的医療保険の適用を受けた。スマートフォンやタブレットで約5分のゲームを1日5回、計6週間行うことで症状改善を目指す。開発元の米アキリ社と国内販売を担う塩野義製薬によると、ADHDの6~17歳164人を対象とした臨床試験では、通常治療にアプリを追加したグループで不注意などの症状が改善した。

アプリの仕組みと対象

エンデバーライドは、端末を左右に傾けて水路を進む乗り物を操縦しながら、指定された色のキャラクターを指でタップして捕まえるゲームだ。操縦とキャラクター捕獲という二つの動作を同時に行う「二重課題」により、脳の前頭前野が活性化されるとみられる。対象年齢は臨床試験と同じ6~17歳で、医師が必要と認めた場合に認証コードが発行される。公定価格は1万4500円で、3割の自己負担(約4350円)となる。自治体の子ども医療費助成が受けられれば、さらに負担は軽減される。

保護者の声と専門家の見解

ADHDの息子2人を持つ大阪府寝屋川市の母親(39歳)は「症状が改善するならやらせてみたい」と歓迎する。長男(11歳)と次男(9歳)は薬の副作用で治療を継続できなかったという。一方、奈良県立医科大教授の岡田俊氏(児童精神医学)は「アプリは生活上の工夫で十分な改善が得られない場合に使用されるが、どのような患者に有効か不明な点も多い。医師と家族が話し合い、慎重に決めることが重要だ」と指摘する。

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診断用アプリの開発も進行中

京都市の新興企業「Almaprism(アルマプリズム)」は、ADHDの子どもの認知機能を測定する診断用アプリを開発中だ。任天堂でゲーム企画に携わった糟野新一氏が2022年に創業し、キャラクターを操作してボールをゴールに運ぶパズルゲーム形式で、診断支援を目指す。糟野氏は「ゲームを楽しむだけで個々に最適な治療が選択できるようにしたい」と話す。

治療用アプリの市場拡大

科学的根拠に基づく治療用アプリは「デジタルセラピューティクス(DTx)」と呼ばれ、世界的に開発競争が激化。国内では2020年以降、ニコチン依存症、高血圧、不眠症向けアプリが保険適用となった。市場調査会社シード・プランニング(東京)の2025年の調査によると、DTxの国内市場規模は2030年に2024年の約4倍の66億円に拡大する見通し。東京大の脇嘉代教授(DTx研究会代表理事)は「生活習慣支援などで薬物治療を補完する役割が期待されるが、新たなツールを既存診療にどう組み込むかが課題。適切な利用方法の事例共有とノウハウ蓄積が普及の鍵」と述べている。

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