NTTドコモは、2024年以降のモバイルネットワーク進化に向けた戦略を公表した。同社は5Gの高度化版「5G-Advanced」の導入を2024年度に開始し、2030年代の6G商用化を見据えた研究開発を加速する。
5G-Advancedの主要機能と導入スケジュール
5G-Advancedは、3GPP Release 18で標準化が進む技術で、NTTドコモは2024年度中のネットワーク導入を計画している。特長として、AI/ML(機械学習)を活用したネットワーク最適化、高速大容量通信のさらなる効率化、低遅延性能の向上が挙げられる。同社の技術部門責任者は「5G-Advancedにより、エッジコンピューティングとの連携が強化され、産業用アプリケーションの幅が広がる」と述べている。
具体的には、ネットワークスライシングの高度化により、複数の仮想ネットワークを同時に効率的に運用可能となる。これにより、自動運転や遠隔医療など、多様な要件を持つサービスを同一の物理ネットワーク上で実現できる。また、AIによるトラフィック予測とリソース割り当ての自動化により、ネットワーク運用効率が30%以上向上すると見込まれている。
6Gに向けた研究開発の現状
6Gについては、NTTドコモは2030年の商用化を目標に、超高速・超低遅延・超多数接続に加え、新たな価値として「高信頼性」「高セキュリティ」「持続可能性」を掲げる。同社は、NTTグループの研究所と連携し、テラヘルツ帯の無線技術や、光ファイバーと無線を統合したネットワークアーキテクチャの研究を進めている。
特に注目されるのが、AIネイティブなネットワーク設計である。6Gでは、ネットワーク全体がAIによって自律的に制御されることが想定され、通信品質の最適化だけでなく、エネルギー消費の最小化も図られる。NTTドコモの研究開発部門の幹部は「6Gは単なる通信インフラではなく、社会全体のデジタルトランスフォーメーションを支えるプラットフォームとなる」と強調した。
産業応用と社会実装への期待
5G-Advancedと6Gの進化は、様々な産業に変革をもたらすと期待される。製造業では、工場内のロボット制御のリアルタイム化や、デジタルツインによるシミュレーション精度向上が可能になる。医療分野では、遠隔手術の低遅延化や、高精細な医療画像の伝送が実現する。また、自動運転では、車車間通信や路車間通信の信頼性が向上し、より安全な運行が可能となる。
さらに、NTTドコモは、2025年の大阪・関西万博で、6G関連の先端技術をデモンストレーションする計画を明らかにしている。これにより、一般来場者にも次世代通信の可能性を体感してもらう狙いだ。
グローバルな標準化競争と日本の位置づけ
世界的には、5G-Advancedと6Gの標準化競争が激化している。米国、中国、欧州、韓国などがそれぞれの技術開発を推進する中、日本はNTTドコモを中心に、産学官連携で国際標準化をリードする戦略を取る。同社は、3GPPやITUなどの標準化会合に積極的に参画し、日本の技術を国際標準に反映させる取り組みを続けている。
NTTドコモの担当者は「日本が持つ強みは、高度なネットワーク運用技術と、多様な産業との協業実績である。これらを活かし、グローバルな通信インフラの進化に貢献したい」と述べている。5G-Advancedの導入と6Gの研究開発は、日本のデジタル競争力の維持・向上に不可欠であり、今後の動向が注目される。



