NTTとKDDIは2024年6月24日、第6世代移動通信システム(6G)の国際標準化に向けた協業を発表した。両社は、2030年代の実用化を視野に、日本が主導的な立場で次世代通信規格の策定を進めることを目指す。この連携により、NTTが開発する「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)」技術と、KDDIの持つ無線アクセスネットワーク技術を統合し、6Gの標準化提案を共同で行う。
協業の背景と目的
6Gは、5Gの後継として超高速・大容量、低遅延、多数同時接続に加え、新たに「高信頼性」や「エネルギー効率」などの要件が加わる。国際標準化は、ITU(国際電気通信連合)や3GPP(第3世代パートナーシッププロジェクト)などで進められており、2028年頃に最初の標準仕様が策定される見通しだ。NTTとKDDIは、日本企業の技術を世界標準に組み込むことで、通信機器市場や関連サービスでの競争優位を確保したい考え。
両社の技術と役割分担
NTTは、光電融合技術を核とするIOWN構想を推進。これは、従来の電子回路に代わり光信号でデータ処理を行うことで、消費電力を大幅に削減し、超低遅延を実現する。一方、KDDIは、5Gで培った無線アクセス技術やネットワーク仮想化技術を強みとする。両社は、IOWNの光ネットワーク技術とKDDIの無線技術を組み合わせ、6Gの基盤となる「オール光ネットワーク」の実現を目指す。
国際標準化への影響
現在、6Gの標準化を巡っては、中国の華為技術(ファーウェイ)や韓国のサムスン電子、欧州のエリクソン、ノキアなどが積極的に提案を行っている。日本勢は、総務省の「Beyond 5G推進戦略」の下、官民連携で標準化を推進。NTTとKDDIの協業は、日本全体のプレゼンス向上に寄与すると期待される。総務省は、2030年までに日本発の6G関連特許のシェアを10%以上に引き上げる目標を掲げている。
今後のスケジュール
両社は、2024年度中に標準化提案の具体化を進め、2025年度からは国際標準化会議での共同提案を開始する予定。また、実証実験を2026年度以降に開始し、2030年頃の商用化を目指す。NTTの澤田純社長は「日本の通信技術の強みを結集し、世界をリードする6Gの実現に貢献したい」とコメント。KDDIの高橋誠社長も「両社の技術を融合することで、社会課題の解決につながる新たな価値を創造する」と述べた。
産業界への波及効果
6Gの実用化は、自動運転や遠隔医療、XR(拡張現実)などの高度なユースケースを可能にするとされる。NTTとKDDIの協業は、関連する半導体や光デバイス、ソフトウェア産業にも波及効果をもたらす。特に、IOWNの光電融合技術は、データセンターの消費電力削減にも寄与するため、カーボンニュートラルの観点からも注目される。



