次世代通信規格5Gの高速化を実現する新技術が、東京工業大学とNTTの共同研究チームにより発表された。この技術は、ミリ波帯の電波を効率的に利用することで、データ転送速度を従来の5Gと比較して最大10倍に向上させるという。
新技術の核心:超多素子アンテナとビームフォーミング
研究チームが開発したのは、1024個のアンテナ素子を集積した超多素子アンテナと、それを制御する高度なビームフォーミング技術である。これにより、電波の指向性を極めて精密に制御し、複数のユーザーに同時に高速通信を提供することが可能となる。
従来の5Gでは128素子程度のアンテナが一般的だったが、今回の技術では8倍の素子数を実現。これにより、空間多重度が大幅に向上し、基地局あたりの同時接続ユーザー数も増加する。
性能実証:実験で確認された数値
研究チームは、東京都内の実験施設で実証試験を実施。その結果、1台の基地局から4台の端末に対して、それぞれ1Gbps以上の通信速度を同時に提供できることを確認した。これは、現行の5Gの約10倍にあたる性能だ。また、通信遅延は1ミリ秒以下に抑えられ、従来の5G比で約1/10となった。
「この技術により、5Gのポテンシャルを最大限に引き出せる。特に、自動運転や遠隔医療など、低遅延が求められる分野での応用が期待される」と、東京工業大学の教授は述べている。
今後の展望と課題
研究チームは、2025年以降の実用化を目指している。ただし、実用化にはいくつかの課題がある。まず、超多素子アンテナの製造コストが高いこと。また、消費電力の増大も問題となる。研究チームは、これらの課題を解決するため、新材料の採用や回路設計の最適化を進めている。
NTTの担当者は「2025年までにコストを現行の5G基地局と同等以下に抑える見通しだ。また、AIを活用した省電力制御技術も開発中で、消費電力は現行の5Gと同等程度にできる」と説明する。
この技術が実用化されれば、5Gのさらなる高速化と低遅延化が実現し、産業や社会に大きな変革をもたらす可能性がある。



