日本の5G(第5世代移動通信システム)の基地局整備が、諸外国に比べて著しく遅れていることが、東洋経済の調査で明らかになった。総務省の目標では、2030年度末までに全国で約30万局の5G基地局を整備する計画だが、2025年3月時点での整備率は約40%にとどまっている。このペースが続けば、目標達成には2040年代半ばまでかかる計算だ。
世界との比較で浮き彫りになる日本の遅れ
韓国や米国、中国など主要国では、5G基地局の整備が急速に進んでいる。韓国は2024年末までに全国で約23万局を整備し、人口カバー率は95%を超えた。一方、日本は同率で約60%と、大きく水をあけられている。
総務省の担当者は「日本は地形が複雑で、山間部や離島での整備にコストがかかる。また、通信キャリア間の競争が激しく、投資回収の見通しが立ちにくいことが遅れの要因」と説明する。
産業競争力への影響を懸念する声
5Gの遅れは、自動運転やスマート工場、遠隔医療など、次世代技術の社会実装にも影響を及ぼす。国際電気通信連合(ITU)の報告書によると、5Gの普及率が高い国ほど、関連産業の生産性向上が顕著だという。
通信業界アナリストの山田太郎氏は「日本がこのまま遅れを続ければ、2020年代後半にはデジタル競争力で世界から取り残される危険性がある。政府は補助金の拡充や規制緩和など、抜本的な対策を急ぐべきだ」と警鐘を鳴らす。
今後の課題と政府の対応
政府は2024年度補正予算で、5G基地局整備への補助金を500億円増額したが、業界団体は「まだ十分ではない」と訴える。また、地方自治体からは、基地局設置のための規制緩和を求める声が上がっている。
総務省は、2025年夏までに新たな整備計画を策定する方針で、基地局の共用化や、光ファイバーとの連携強化などを検討している。しかし、専門家の間では「抜本的な解決には、通信キャリア間の協調体制の構築が不可欠」との見方が強い。



