政府は5G基地局の整備を加速し、2030年までに全国のカバー率を90%に引き上げる目標を発表した。総務省が策定した新たな整備計画に基づき、2025年度から2029年度までの5年間で約1.5兆円を投じる方針だ。これにより、地方部での通信環境改善が期待される。
総務省の新計画の詳細
総務省は、5G基地局の整備を促進するため、補助金制度を拡充する。特に、人口密度の低い地域での基地局設置に対して、従来よりも高い補助率を適用する。具体的には、過疎地での基地局建設費の最大50%を国が負担する。これにより、通信事業者の負担を軽減し、整備を加速させる狙いだ。
また、既存の4G基地局を5G対応にアップグレードする際の費用も補助対象となる。総務省は、2025年度から新たな補助金申請の受付を開始する予定である。
目標達成への課題
しかし、専門家からは課題も指摘されている。通信コンサルタントの山田太郎氏は、「地方部では基地局の維持コストが収益を上回る可能性が高く、事業者の投資意欲が鈍る懸念がある」と述べる。さらに、5Gの高速通信を活かすアプリケーションが地方で十分に普及していないことも課題だ。
総務省の担当者は、「補助金だけでなく、地域のニーズに応じた利活用促進策も併せて実施する」と説明する。具体的には、農業や医療分野での5G活用実証実験を支援する方針だ。
国際比較と日本の現状
日本の5Gカバー率は、2024年時点で約60%であり、韓国(約85%)や米国(約80%)に比べて低い水準にある。総務省の計画では、2027年までにカバー率を75%に、2030年までに90%に引き上げることを目指す。これにより、デジタル田園都市国家構想の実現を後押しする。
一方、通信事業者からは「基地局整備には多額の投資が必要であり、補助金だけでは不十分」との声も上がる。NTTドコモの広報担当者は、「国と事業者が協力して、持続可能な整備モデルを構築することが重要だ」とコメントしている。
今後のスケジュール
総務省は、2025年度に補助金制度の詳細を公表し、同年中に最初の補助金交付を開始する。2026年度には、実証実験の成果を踏まえた追加施策を検討する。政府は、2030年目標の達成に向けて、毎年進捗状況を公表する方針である。



