EVシフト加速、中国勢が席巻する東南アジア市場の現実
EVシフト加速、中国勢が席巻する東南アジア市場 (27.06.2026)

東南アジアの電気自動車(EV)市場で、中国メーカーの存在感が急速に高まっている。タイでは2023年のEV販売台数の約8割を中国勢が占め、日本メーカーのシェアは1%未満にまで落ち込んだ。この現象は、日本車が長年支配してきた東南アジア市場の構造を根本から変えつつある。

中国EVメーカーの躍進

タイ自動車協会のデータによると、2023年のタイ国内のEV販売台数は約7万6000台で、前年の約1万台から7倍以上に増加した。このうち、中国のBYD(比亜迪)が約3万台を販売し、シェア約40%で首位。次いで、同じく中国のNeta(合衆新能源汽車)が約1万2000台、Great Wall Motor(長城汽車)が約1万台と続く。日本勢では日産が約1000台、トヨタが約500台にとどまった。

中国メーカーは、価格競争力と豊富なモデル展開で攻勢をかける。BYDのコンパクトEV「ドルフィン」はタイでの販売価格が約76万バーツ(約310万円)と、ガソリン車と同等の水準に設定され、販売を伸ばしている。また、中国メーカーはタイ政府のEV普及政策を追い風に、現地生産にも乗り出している。

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タイ政府のEV推進策

タイ政府は2030年までに新車販売の30%をEVにする目標を掲げ、購入補助金や輸入関税の引き下げなどの優遇策を導入。特に、2022年から2025年までの第1段階では、EV1台あたり最大15万バーツ(約60万円)の補助金を支給し、輸入関税も最大40%引き下げた。これらの措置は、中国メーカーの市場参入を後押しした。

さらに、タイ政府は2024年から2027年までの第2段階で、EVバッテリーの国内生産を義務付けるなど、サプライチェーンの現地化を促進。これに対応し、BYDはタイに年産15万台の工場を建設中で、2024年に稼働予定。Great Wall Motorも既存の工場をEV生産に転換している。

日本メーカーの苦戦

一方、日本メーカーはEVシフトで大きく出遅れている。トヨタはタイでハイブリッド車(HV)に注力し、EVの投入は2023年に初の量販モデル「bZ4X」を発売したばかり。日産は「リーフ」を販売するが、モデルが旧型で競争力を欠く。ホンダは2024年にEVの生産を開始する予定だが、現時点では販売実績がない。

日本メーカーの苦戦の背景には、HVで成功したがゆえのEVへの慎重姿勢や、中国市場での競争激化によるリソース分散がある。また、タイ市場では日本車のガソリン車が依然として人気だが、EVシフトが加速すれば、長年築いてきたシェアを失うリスクがある。

東南アジア全体への波及

タイに続き、インドネシアやマレーシアでも中国EVメーカーの進出が進んでいる。インドネシアでは、BYDが2024年に工場建設を発表。マレーシアでも、中国のChery(奇瑞汽車)がEVの現地生産を計画している。東南アジア全体のEV市場は2023年に約15万台と推定され、2025年には50万台を超えるとの予測もある。

日本メーカーは、東南アジアでのEV市場で巻き返しを図るため、現地生産や新モデルの投入を急いでいる。トヨタは2025年までにタイでEVを生産する計画を明らかにしており、日産も2025年以降に新型EVを投入する方針だ。しかし、中国メーカーの先行優位は大きく、日本メーカーの巻き返しは容易ではない。

東南アジアのEV市場は、中国勢の席巻によって新たな競争段階に入った。日本メーカーがこの流れにどう対応するかが、今後の自動車業界の行方を左右することになる。

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