王者から挑戦者へ、侍ジャパンの再建は若手の成長にかかる
大谷翔平選手(ドジャース)を筆頭に、過去最多となる8人の大リーガーを擁しながら、初めて4強入りを逃した侍ジャパン。世界一奪還に向けた課題が浮き彫りとなったWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の戦いを検証する。
主力選手の顔ぶれ変わらず、若手の躍動が鍵
準々決勝のベネズエラ戦で敗れた後、大谷選手は「今後楽しみな選手が多い。もっと球界のレベルが上がってくれればうれしい」と期待を口にした。この試合では、25歳の森下翔太選手(阪神)が一時勝ち越しとなる3点本塁打を放つ活躍を見せた。これは鈴木誠也選手(カブス)の負傷によって巡ってきた出場機会だった。
しかし、この日の先発メンバーに名を連ねた大会初選出の選手は、27歳の佐藤輝明選手(阪神)と30歳の若月健矢選手(オリックス)だけ。優勝した前回大会から3年が経過したにもかかわらず、主力の顔ぶれが大きく変わらなかった一方で、4強以上のチームでは20歳代前半の若手選手が躍動した。
2027年プレミア12でロス五輪出場権が懸かる
国内組が中心となる2027年11月の国際大会「プレミア12」は、2028年ロサンゼルス五輪の出場権がかかる重要な大会だ。ここでアジアの最上位に入るか、最終予選を勝ち抜かなければ、再び世界一に挑むことすらできない。
2023年10月に就任した井端弘和監督は、「オファーをいただいた時、『若い選手の活性化』を求められた。経験するのは(2024年の)プレミア12まで」と計画を立てたという。森下選手や小園海斗選手(広島)を積極的に起用し、2024年の強化試合には当時大学生だった金丸悠輔選手(中日)を招集するなど、若手育成に力を入れてきた。
投打ともに課題残す日本の戦いぶり
日本の戦いぶりを振り返れば、これまで得意としてきたスモールベースボールではなく、派手な一発攻勢が目立った。しかし、本塁打10本のうち、国内組が打ったのはチェコ戦の周東佑京選手(ソフトバンク)と森下選手の計2本のみ。慣れない海外の投手への対応に手こずり、ベネズエラ戦ではパワーと制球力に優れた救援陣に反撃を封じられた。
同様の課題は、国内各球団のエース級をそろえた投手陣にもある。他のチームと比べて見劣りしたのは、速球の平均球速ランキングだ。速報アプリ「NPB+」によると、日本の最上位は32位の菊池雄星選手(エンゼルス)の154.7キロで、国内組では36位に種市篤暉選手(ロッテ)の名前がある。強豪国と真っ向から力勝負をするには、投打ともに物足りない部分が多い。
若手選手の成長が再起のカギ
森下選手は「他の大会とは全然違う、レベルの高い野球だった。もっともっと精進していくだけ」と誓った。王者から挑戦者になった侍ジャパン。ここからの逆襲は、若い力にかかっている。井端監督が進める若手活性化の取り組みが、2027年のプレミア12、そしてロサンゼルス五輪への道を切り開くカギとなるだろう。



