福井・大野市の財政自立度低迷、持続可能な財源確保が課題に 市長選で問われるリーダーシップ
福井・大野市の財政自立度低迷 市長選でリーダーシップ問う

5月31日、60年の歴史に幕を下ろした大野市文化会館。結婚式から子どもたちの発表会まで、幅広い世代に親しまれた。老朽化や耐震性の問題を抱え、市は2026年度内に解体を終わらせる考えだ。「解体費用は年々高騰。財政負担の軽減を図る」。国の地方交付税措置がある有利な地方債の活用が示された昨年12月の市議会で、市側の説明から財政事情の一端が垣間見えた。

財政指標は一見健全だが

24年度決算で、財政の健全性が表れる各指標をみると、収入に占める地方債の返済割合を示す「実質公債費比率」は5.3%、将来負担比率は12.6%で「いずれも問題ない範囲」(県市町協働課)という。しかし、財政の自立度を示す「財政力指数」(3カ年平均)は0.42で、県内9市で最も低い。市は1月に策定した第6次総合計画後期基本計画(26~30年度)で、施策の柱に「持続可能な行政経営と財源の確保」を掲げた。

経常収支比率の上昇が深刻

策定に携わった仁愛大の南保勝特任教授(73)が着目するのは、94.0%まで上昇した「経常収支比率」だ。100%に近づくほど柔軟な予算の使い方が難しくなる。「地方自治体の共通課題だが、社会保障費が膨らみ、自由に使える財源が少ない」と硬直化を指摘する。

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普通交付税の減少リスク

地域間格差をなくすために国から入る「普通交付税」も安泰ではない。26年度一般会計当初予算では53億円。収入の4分の1余りを占めたが「来年度の交付額から減少する可能性がある」(市財政経営課)。人口規模に比例した配分があり、算定基準となる国勢調査の25年速報値で、市の人口が前回20年調査から11.25%減ったためだ。

基金残高の減少懸念

24年9月に示された中期財政見通しでは、「貯金」に当たる財政調整基金など各種基金も24年度をピークに減少すると予測。小中学校やごみ処理施設の改修など大規模事業に伴う地方債の返済が、基金の取り崩しで賄われている。24年度の各種基金の残高は国と県からの追加交付で、想定より9億円多く上積みされたが、試算では30年度に15億円まで落ち込み、財調は7億円と目標額の20億円を大きく下回る。

市の取り組みと今後の課題

安定的な収入を確保し、支出を絞るため、市が力を入れるのが公共施設の再編や企業誘致、ふるさと納税の獲得など。アウトドア用品大手「モンベル」の物流センターを誘致した富田産業団地では、残る空き区画の年度内の売却を目指す。3年後に見えてきた中部縦貫自動車道の県内全線開通も「東海圏とのつながりを深める好機」(南保特任教授)。企業誘致や地域産業の振興にトップの実行力が欠かせない。

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