韓国W杯惨敗で大統領が監督批判に便乗、サッカー大国の怒りを味方に
韓国W杯惨敗で大統領が監督批判に便乗、サッカー大国の怒りを味方に

2026年6月24日、サッカーW杯の韓国対南アフリカ戦で韓国代表が敗退し、1次リーグ敗退が確定した。この結果を受け、韓国の李大統領が異例の形で洪明甫監督や韓国サッカー協会(KFA)への批判に乗り出した。大統領自らがスポーツ界の人事や運営に介入する姿勢は「サイダー政治」と称され、国民の怒りを味方につける戦略が注目されている。

洪明甫監督の再任と不透明な選出過程

洪明甫監督は2度目の代表監督就任が決まった直後から、指導者としての力量を疑問視する声が上がっていた。それと同時に問題視されたのが、KFAの不透明な選出過程だった。今回のW杯では過去最高のメンバーが揃い、1次リーグの組み合わせも比較的悪くないと期待が高まったが、結果は2014年ブラジル大会の再現となった。

大統領のX投稿と警察の捜査

李大統領はX(旧Twitter)で、韓国社会に渦巻くKFAと洪監督への不満に乗っかる形で、改めて不透明な就任問題を取り上げた。さらにKFAの運営に対して「民間領域における民主的な指導力の構築と客観的な監視・牽制体制の確立は、われわれの政府の主な国政課題です」「運営の透明性、公正性、客観性を確保するために厳格な監視・牽制システムを構築し、行為と結果に見合った責任を負わせることも重要な課題です」と発言し、批判のボルテージを上げた。

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李大統領のメッセージを受けるように、韓国警察当局も本格的に動き出した。東亜日報によると、警察当局は2026年7月1日、市民団体からの告発を受けた洪氏の監督就任をめぐる疑惑を、ソウル警察庁が直接捜査することになったとの報道資料を出した。

「キャビアでチゲ鍋を作りやがった」

現職大統領みずからスポーツ界に口出ししたことを批判する声がSNSなどで出ているが、少なくとも現時点ではKFAや洪氏へのバッシングがはるかに上回っている。ブラジル大会での敗退時も洪氏に対する批判は高まったが、政治家たちがこれほど厳しい非難を浴びせることはなかったという。

自身も「熱狂的なサッカーファン」と言う韓国政府関係者は、「豪華メンバーで迎えた今大会の1次リーグ敗退は到底ありえない。『キャビアでアルタン(海鮮チゲ鍋)を作りやがった』との声が上がるほどだ」と怒りが収まらない様子を語った。

「サイダー大統領」の真骨頂

同時に李大統領のとっさの言動について、同関係者は「つねに民意がどこにあるかを意識している大統領らしい。イスラエルとネタニヤフの一連の騒動と共通した点がある」と指摘する。「一連の騒動」とは2026年4月から2カ月連続で起きたイスラエルとの「衝突」を指す。李大統領はまず、イスラエル兵がパレスチナ人を屋根から落とした様子が映っていると主張する映像を引用し、「事実ならどんな措置があったのか調べてみなければならない。私たちが問題視する慰安婦強制、ユダヤ人虐殺と変わらない」などとXに投稿した。

これにイスラエル政府が反発し、「ユダヤ人虐殺を軽視している」と非難すると、李大統領はさらに「絶え間ない反人権的、反国際法的な行動に苦しんでいる全世界の人々の指摘を一度は振り返ってみてもよさそうなのに、失望している」などと追い打ちをかけた。翌5月の閣議では、パレスチナ自治区ガザ地区に支援物資を届けようとした韓国人らの乗った船がイスラエル軍に拿捕されたことを受け、李大統領は「あまりに非人道的」とイスラエル側を強く批判した。

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「サイダー大統領」とは?

李大統領は就任以来、国民の感情に敏感に反応し、時に過激とも言える発言で支持を集める手法を「サイダー政治」と呼ばれている。炭酸飲料のサイダーのように、刺激的で爽快感を与える一方、すぐにガスが抜けるという比喩だ。今回のサッカー界への介入も、国民の怒りを代弁することで支持率向上を狙ったものとみられる。

韓国サッカー界は今後、警察の捜査やKFAの改革が進む可能性がある。李大統領の「サイダー政治」がどのような結果をもたらすのか、注目が集まっている。