韓国W杯敗退で大統領が監督批判に便乗、サッカー大国の怒りを味方につける「サイダー政治」
韓国W杯敗退で大統領が監督批判に便乗、サイダー政治

2026年6月24日、サッカーワールドカップ北中米大会で韓国代表が南アフリカに敗れ、1次リーグ敗退が決定した。大方の予想を覆す結果に、韓国サッカーファンの怒りは頂点に達した。批判の矛先は、チームを率いた洪明甫(ホン・ミョンボ)監督と、彼を起用した韓国サッカー協会(KFA)に向けられ、監督就任をめぐる疑惑は警察の捜査に発展している。

大統領の異例の監督批判

そんな中、政治の最高指導者である李在明(イ・ジェミョン)大統領が、自らのX(旧ツイッター)に投稿したメッセージが波紋を呼んだ。決勝トーナメント進出の道が断たれるや否や、「能力より身内かどうかを重視し、無能な人物を指揮官に選べば、結果は火を見るより明らかだ」と書き込んだのだ。

この投稿は、「水に落ちた犬を打て」とばかりの心ない言葉と受け止められた。李氏を知る関係者は口を揃えて「なんとも李在明らしい」と評する。大統領は続けて「予想外の結果に戸惑いを通り越して、あきれています」「結局は人事が万事であることが改めて証明されました」と記し、洪監督の抜擢を厳しく非難した。

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監督人事の不透明さと洪明甫の過去

韓国代表監督をめぐっては、前回W杯以降混乱が続いていた。数々の曲折を経て2024年に就任したのが洪氏だった。現役時代は「アジア最高のリベロ」と称され、引退後も「韓国のレジェンド」と呼ばれた洪氏は、日本のJリーグ(ベルマーレ平塚、柏レイソル)でも活躍した。しかし、2014年のブラジルW杯で初めて代表監督を務めた際は、過去最高の選手をそろえながらも1次リーグ敗退に終わっている。

今回のW杯でも、洪監督の采配や選手起用に疑問の声が上がっていた。特に、最終戦の南アフリカ戦での戦術が裏目に出たとされ、ファンやメディアから厳しい批判が浴びせられた。6月30日、帰国した洪氏らを仁川国際空港で待ち受けていたのは、約100人の抗議者たちだった。『東亜日報』によると、午前4時前の真夜中にもかかわらず、「出ていけ」「年俸を返せ」などの罵声が飛び交い、警察官約100人が警戒に当たった。

批判はサッカー協会へ

批判の矛先は監督個人からサッカー協会へと広がっている。洪監督の就任過程には不透明な点が多く、KFAの人事決定が「身内びいき」ではないかという疑惑が持たれている。この疑惑は警察の捜査対象となり、KFA関係者の事情聴取が行われている。

李在明大統領の批判は、こうした国民の怒りを巧みに代弁する形となった。韓国政治では、大統領がスポーツの結果に直接言及することは異例だが、李氏はこれを「サイダー政治」と称される自身のスタイルに乗せた。サイダーとは、爽快感のある炭酸飲料のことで、彼の歯に衣着せぬ物言いや、大衆の感情に訴えかける手法を指す。

「サイダー政治」の真骨頂

李氏の支持者たちは、今回の投稿を「国民の声を代弁した」と評価する一方、批判派は「政治利用だ」と非難する。韓国メディアの論調は分かれており、保守系紙は「大統領の軽率な発言」と報じる一方、進歩系紙は「当然の批判」と擁護する。

サッカー大国・韓国において、代表チームの敗退は国民的な関心事であり、大統領がこれに乗じることで、自らの支持基盤を固める狙いがあると分析されている。李氏は過去にも、政治的なスキャンダルや危機の際に、大衆の怒りを味方につける発言で知られる。今回のW杯敗退も、彼にとっては格好の政治材料となった。

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今後の展開

洪監督の去就やKFAの対応が注目される中、警察の捜査がどのような結論を出すかも焦点だ。また、李在明大統領の「サイダー政治」が、今後の政局にどのような影響を与えるか、引き続き注視する必要がある。