W杯便乗で経済活性化、米小都市ディケーターの新モデル
W杯便乗で経済活性化、米小都市の新モデル

サッカーワールドカップ(W杯)北中米大会が開催されている米国で、開催都市ではないにもかかわらず、大会の盛り上がりを巧みに活用して地域活性化を図る都市がある。ジョージア州ディケーター市だ。人口約2万5千人の小都市は、独自の観戦イベントを企画し、地元経済に新たな風を吹き込んでいる。

長期パブリックビューイングが生んだ賑わい

アルゼンチンがイングランドに逆転勝利した15日(日本時間16日)の準決勝。ディケーター市の広場は、試合中継を見守る大勢の人々で埋め尽くされた。老若男女が集い、ゴールが決まるたびに大歓声とため息が交錯する熱気に包まれた。

これは市が主催する「Watch Fest(観戦祭り)」と呼ばれるイベントだ。開幕から決勝までの39日間のうち34日、屋外で無料のパブリックビューイングを実施。市の説明によれば「米国で唯一の長期開催」という。この取り組みが、街に予想以上の訪問者をもたらしている。

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開催都市を凌ぐ戦略

ディケーター市は、準決勝会場となったアトランタ競技場から東へ約12キロの位置にある。治安が良く、全米でも評価の高いレストランやビールバーが集まる魅力的なエリアだ。しかし、来訪者の大半はアトランタ郊外からの日帰り客に限られていた。

市はより多くの人々に足を運んでもらうため、W杯の機運に便乗するアイデアを思いついた。行政責任者を2019年から務めるアンドレア・アーノルド氏は「このチャンスを逃してはならないと考えた。私たちには小さな予算しかないが、創造性で勝負できる」と語る。

予想を超える成果と地域への波及効果

この観戦イベントは、地元経済に顕著な効果をもたらしている。市の試算によると、イベント期間中の訪問者数は当初の予想をはるかに超え、周辺の飲食店や小売店の売り上げは前年同期比で約30%増加した。アーノルド氏は「こんな機会は人生で一度あるかないか。私たちはそれを最大限に活用している」と強調する。

イベントは無料で開催されているが、市は地元企業のスポンサーシップや寄付によって運営費を賄っている。このモデルは、大規模な投資を必要とせず、コミュニティの結束を高める点でも評価されている。

新たな地域振興モデルとしての可能性

ディケーター市の試みは、W杯のような国際的大イベントを直接開催しない小都市でも、その熱気を利用して経済活性化を図れることを示した。市の担当者は「私たちの成功は、他の都市にとっても参考になるはずだ。大事なのは、イベントを待つのではなく、自ら作り出すことだ」と述べている。

この取り組みは、全米のメディアでも取り上げられ、観光客の増加に拍車をかけている。決勝戦を前に、ディケーター市はさらなる盛り上がりを期待している。

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