函館・汐首山で野生馬と出会うMTBライドツアーに参加してきた
函館・汐首山で野生馬と出会うMTBライドツアー体験

世界三大夜景や歴史的建造物で知られる函館。その郊外には、野生馬が暮らす山がある。今回訪れたのは函館市汐首町(旧戸井地区)にある汐首山。この山で行われているMTBライドモニターツアーに参加し、野生馬との出会いや汐首山ならではの景色を体験してきた。

野生馬が暮らす汐首山とは

汐首山は函館市中心部から南東へ約20km、車で30分ほどの場所に位置する。標高は約291mと決して高い山ではないが、海沿いに面しているため、晴れた日には函館山や下北半島まで望むことができる。

この汐首山には野生馬が暮らしている。そのルーツは、江戸時代末期から明治にかけて北海道開拓のため東北地方から連れて来られた馬だという。道路開削や物資の運搬、農作業などを担った馬たちの子孫が自然繁殖を繰り返しながら現在も汐首山で生息している。なお、現在も馬の所有者は存在しているそうだ。

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今回は、そんな歴史と自然が共存するエリアを巡るMTBライドツアーに参加した。

ガイドツアーだから実現したライド

今回のツアーを主催するのは、函館市の自転車店「Chillnowa(チルノワ)」と、道南エリアで活動する砂利道探検隊「Gravel Hunt(グラベルハント)」だ。

汐首山は近年、SNSなどで「野生馬を見られる山」として話題になり、軽装で訪れる人もいるようだ。しかし、ここは決して気軽な観光スポットではない。このエリアではヒグマの目撃情報があり、過去には野生馬が襲われた事例もあったという。実際、3年前の春に単独で訪れた際には、地元の漁師から入山を止められ、断念した経験がある。その際は、訪れる3日前からヒグマが頻繁に出没しており、実際に足跡も確認していた。

地域で共有されている情報は、必ずしもテレビやネットニュースで報じられるわけではない。だからこそ、現地の情報を日々収集し、危険なエリアや時期を把握しているガイドと行動をともにすることが重要だ。

今回も集合場所で自転車を準備し、ガイドから入山前のレクチャーを受ける。ガイドのバイクにはクマ避けスプレーや救急用品が備えられている。自然の中を走る以上、万が一への備えを怠ることはできない。

標高291mを甘く見てはいけない

汐首山の標高は291m。それほど大きな山には思えない。しかし、山頂までほとんど平坦な道はなく、8〜11%くらいの勾配が続く。スタート直後は会話を楽しむ余裕もあったが、時間が経つにつれ徐々に口数が減っていった。

とはいえ、時間はたっぷりあるため、休憩を挟みながらゆっくりと登っていく。日頃から登山やランニングなどを行っている人であれば、登りきれるレベルだろう。きつい場所は無理せず押して歩けばよい。ガイドたちもそのあたりは十分理解しているので、遅れをとっても気にする必要はない。

汐首山のような長い坂道を登るには、マウンテンバイクのギヤ(変速機)も重要だ。ロードバイクに比べ、重量のあるマウンテンバイクには、軽いギヤが備わっているものが多い。日常のライドでは「こんな軽いギヤ、いつ使うの?」と思っていたものだが、このような登坂のシチュエーションで真価を発揮する。ワイドなギヤが付いていれば、多くの坂道に対応できる。

また、意外にも“メンタル”が重要だ。普段、一人で長い坂道を登るときは「無」になることを心がけている。そして、「あまり遠くを見ない」こと。むやみに遠くを見てしまうと、なかなか進まないことに心が折れるからだ(とはいえ、安全確認のため、必要に応じて遠方に視線を向けることもある)。

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しかし、今回は一人ではない。呼吸が苦しくなりながらも会話は盛り上がり、気がつけば一人で登るときよりもずっと楽に、時間も距離も短く感じていた。ツアーライドならではの楽しさを改めて実感した瞬間だった。

いよいよ野生馬の生息エリアへ

すでに半分以上登った段階だろうか。山ぶどうを見つけたメンバーの声をきっかけに休憩することになった。休憩中も会話は尽きることなく、函館の歴史や地域の情報など、この土地ならではの話を丁寧に教えてくれた。

ガイドリーダーの横田さんが乗っている自転車はファットバイク。一般的なMTBよりもさらに重たく、タイヤの転がり抵抗も大きい。それに加え、救急用品や行動食、飲料などを積載して先頭を走っているのだから、その脚力・体力には驚かされるばかりだ。

休憩を終えて再び出発する。森林エリアを抜けると視界が開け、草原が広がる。さらに数百メートル進み、カーブを超えたその先に野生馬たちが現れた。

野生馬がいるのは、だいたい8合目あたり。馬たちはこちらを静かに見つめている。人間に驚くことはなく、まるで我々が来ることをわかっていたかのようだ。近年は訪れる人も増えており、人の存在にも慣れているようだった。

このあと、しばらく野生馬と時間を過ごしながら、山頂を目指すことになる。