増田八段、55秒の▲6三角で久保九段を制す…第39期竜王戦本戦3回戦
増田八段、55秒の▲6三角で久保九段を制す…竜王戦本戦

第39期竜王戦本戦3回戦で、増田康宏八段が久保利明九段に勝利した。終盤、考慮時間わずか「55秒」で打った▲6三角が決め手となり、長期戦を制した。対局は7月2日に関西将棋会館「特別対局室」で行われ、両者は2018年の竜王戦以来の顔合わせとなった。

8期ぶりの本戦出場

当時の増田八段は4組優勝者として本戦に出場し、藤井聡太竜王(当時七段)、佐藤康光九段を連破。そして久保九段と戦い、華麗なサバキに屈した。今回の本戦出場は通算3度目で、前回から8期ぶり。増田八段は「ようやく本戦でも戦える実力がついてきたと感じます」と話す。その間に順位戦でA級に上がり、今年は棋王戦五番勝負で藤井竜王とフルセットの激闘を演じた。

振り駒で増田八段の先手となり、対局が開始。久保九段の四間飛車に対し、増田八段は持久戦を目指す。途中図から▲6六歩なら「相穴熊が予想されました」と解説者の冨田誠也五段は語る。本譜▲8六歩は△6五銀に▲8七玉を用意しており、増田八段は後日「銀冠は予定でしたが、△64歩~△7三桂は想定外でした」と振り返った。

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唯一の50代、久保九段の工夫

久保九段は今期の本戦出場者の中で唯一の50代。本戦出場は通算15度目で、第23、24期では挑戦者決定三番勝負を戦った。図の局面で昼食休憩に入り、銀冠穴熊に対して後手は珍しい玉形を採用した。「玉を深い位置に置くことで、上部から攻めた時の反動を緩和しています。そのほかに本譜▲5九角から▲3七角と転換した際に、玉が角のラインに入らないようにしています」と冨田五段は解説する。

再開後、互いに駒組みを進めて機をうかがう。▲5九角に対する△6五歩は、▲3七角の前に後手が動くのならここしかないと冨田五段。▲6五同歩には△同桂▲6六銀△4六歩▲同歩△6六角▲同金△5七桂成と強襲して後手ペースとなる。△3三角は1時間を超える長考で、軽快に動くなら代えて△3三桂もあったが、久保九段は自重した。

終盤の決め手

両者の消費時間に2時間の差がついたが、増田八段も歩調を合わせて考える。▲7八飛では▲6五歩と指したかったそうだが、以下△4六歩▲同歩△6五桂で後手の駒に勢いが出るのをきらった。指了図は△4五歩と合わせたところ。先手の7筋の歩交換に対し、歩を温存して6三銀型で桂頭を守ったのが好着想だったと冨田五段は話す。

終盤、増田八段は「55秒」で▲6三角を打ち、これが決め手となって長期戦を制した。増田八段は次戦へ駒を進め、久保九段は本戦を敗退した。

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