むつ市の「むつマエダアリーナ」で開催される国スポ・フェンシングで、少年男子フルーレ団体の県代表3人の1人に、地元の田名部高校3年の野中健伍さん(18)が選ばれた。県内の高校でフェンシング部があるのは2校だけ。そんな環境で心身を磨き、全国の舞台に挑む。
市内の同校体育館では1日、扇風機の大きな音を打ち消すように、剣がぶつかり合う金属音や部員の声が響いていた。フルーレは、相手を剣先で突いて得点を奪う競技。実戦形式の練習を終え、防具のマスクを外した野中さんの顔は上気して充実感に満ちていた。
姉の姿に憧れて
野球少年だった野中さんは中学生の頃、同校フェンシング部の選手だった姉の試合を見た。その上の兄も同校でこの競技に打ち込んだ。1人で対戦相手に立ち向かい、剣を振るう姉の姿に憧れ、自分もフェンシングをやると決意した。
しかし入学後、初めての大会で現実を目の当たりにした。自身は1年生同士の大会に出場する一方、小学校からフェンシングをしている同学年の青森高校の選手は上級生の大会で優勝争いをしていた。
1年秋の大会では、この選手に3―15と大敗した。剣さばきや、仕掛けるタイミングなど攻防の駆け引き、体の使い方――。歴然とした差に「このままでは勝てない」と思い知らされ、負けん気に火がついた。
努力が実った1勝
部の全体練習の後には連日、トップ選手の動画を参考に突く動作を1時間繰り返した。剣の速さを増すためダンベルで腕力を鍛え、攻撃パターンも増やした。
高い壁のようだった青森高校の選手に初めて勝ったのは2年の秋。15―13の接戦だった。努力が報われ、「初めてフェンシングをしてうれしいと思えた」1勝だった。今年6月の東北大会のフルーレ個人では県勢トップの5位に入り、この夏は全国高校総体(インターハイ)への出場も果たした。
この競技を20年以上指導している田名部高校の坪俊彦監督(51)は「身体能力に加え、自身のフォームを振り返るなど研究心も高い。小学校からやっている選手と戦えるレベルまで来ている」と、今では県内で優勝争いを演じる野中さんの成長に驚く。
集大成の舞台へ
国スポの県代表選出の知らせが坪監督を通じて届いたのは7月。「全国の強豪は遠い存在だったけれど、やっと渡り合えるようになった。願いがかなった」と語る。
勝ちたい一心でここまで重ねてきた努力は、自分を裏切らなかった。フェンシングは高校までと決めている。「慣れた地で力を最大限発揮し、青森の子どもたちに勝って喜ぶ姿を見せて勇気を与えたい」と、集大成の国スポに挑む。



