太平洋クロマグロの資源管理を話し合う国際会議で、大型魚の漁獲枠を25%増やす日本の提案が採択された。高知県西部・宿毛湾の橘浦(大月町)などではクロマグロが捕れるものの、漁獲量が極めて限られるため、漁師らは再び海へ放すことが多い。逆に狙う魚を食べられる被害も大きく、今回の合意に「どれくらい漁獲枠を拡大してくれるのかも大切」と話す声が上がる。
養殖場周辺でクロマグロが急増
橘浦は全国有数のクロマグロ養殖場として知られ、採集した未成魚はいけすで飼育される。橘浦漁業協同組合長の山本梅市さん(83)によると、餌の食べ残しなどを目当てに小魚が群がり、それを狙った大型魚が集まる。
組合は高級魚のイサキやタイをいけす周辺で一本釣りをしていたが、2年ほど前から釣れにくくなり、代わりにクロマグロが捕れ始めた。理由ははっきりしないが「いけすから逃げ出し、そのまま居着いたのでは」と指摘する声もある。
山本さんは「イサキやタイは怖がって海底の方に隠れている。運良くかかっても、マグロにかじられて頭しかないこともよくある」と嘆く。
漁獲枠の制約と漁師の苦労
クロマグロ自体も高級魚で入札にかけられれば収入に結びつくのだが、問題となるのが漁獲枠だ。現在は捕ることもできず、釣れたら針を外して逃がしているという。第3四半期(10~12月)、県周辺海域での大型魚の漁獲可能量(漁船漁業)はわずか525キロ。山本さんは「仮に50キロのマグロなら、10匹も釣ったら終わり。イサキは釣れなくなるし、死活問題だ」と話す。
橘浦漁協は5月、県や町、町議会に対し、クロマグロ採捕枠の拡大、クロマグロ異常発生に関する対策チームの設置、釣り漁業者に対する救済補償制度の検討などを求める陳情書を提出した。
他地域でも同様の問題、今後の見通し
同様の問題は他地域でも起きている。県漁業管理課は今月、採捕停止期間中の今年2月にクロマグロ計273.9キロ分を漁獲したとして、室戸市の漁師ら3人を漁業法違反容疑で地検に書類送検した。「定置網に入ったマグロを放すのは労力がかかる。地元に無料で配った」などと話しているという。
橘浦漁協では現状、マグロが回遊しそうな場所を避けて釣りをしており、「漁獲枠が拡大されれば、幾分気にせず仕掛けが出せるようになるかもしれない」と期待を寄せる。県漁業管理課は「漁獲枠増も本決まりしておらず、コメントする段階にない」と慎重に推移を見守っている。



