10日に開幕した夏の高校野球富山県大会では、今大会から指名打者(DH)制が正式に採用され、初戦で6割以上のチームがこの制度を活用した。公式戦としては春の県大会から導入されていたDH制だが、各校の戦略にどのような変化をもたらしているのか。県内全39チームの初戦データをもとに、その実態を探った。
DH使用率64%、大谷ルールも登場
1回戦(10日実施)を対象とした集計によると、39チーム中25チーム(約64%)がDHを採用。そのうち小杉高校は、先発投手がDHを兼ね、降板後も打席に立ち続けられる通称「大谷ルール」を活用した。また、7チームは試合途中でDHを解除。守備についていた選手が途中から登板した際に、DHで先発した選手に代わり、別の選手が守備に入るケースも見られた。
富山工業の小津靖史監督は「暑い中で投げる投手の負担を軽減するためにDHを使った」と、その利点を強調。攻撃時に投手を休ませられる効果が期待される。
DHで出場する選手の本音
DHとして起用される選手の心理は複雑だ。新湊高校の名内奏翔選手(3年)は、1回戦と2回戦で「4番DH」として先発出場。2回戦の高岡南戦では初回に左翼線へ先制の適時二塁打を放ち、勝利に貢献した。名内選手は「守備の負担がないので体は楽だが、守備をする方が試合には入りやすい」と語り、打撃に集中する分、重圧を感じたという。味方の守備時にはベンチ裏で素振りやランニングを行い、集中力を維持する工夫を凝らした。
DH起用の打順と背番号の傾向
DHの打順は、上位打線よりも下位打線が多い傾向が明らかになった。8番が6チームと最も多く、6番と7番がそれぞれ4チームで続いた。1番に起用したチームはなかった。一方、DHを使用しなかったチームでは、先発投手の打順は2番が5チーム、3番が3チームと上位に集中。DHを使わないチームには打力のある投手が多い傾向がうかがえる。
DHとして先発した選手の背番号を調べると、25チーム中20チームが2桁背番号の選手を起用。背番号12~14がそれぞれ4チームで最多だった。内野手のレギュラーにあたる背番号3~6の選手は一人もいなかった。従来「控え」と見なされていた選手が、DHで先発出場する機会が増えている。
新湊高校の名内選手は4番ながら背番号は10。八嶋涼太監督は「本当は1桁にしたかったが九つしかないので、2桁の中で最も若い番号にした」と説明。10人がスタメンに名を連ねるため「レギュラーは背番号1桁」という従来の考え方は覆されつつある。
先発投手次第でDHの有無を判断
DHの使用を先発投手次第で決めるチームもある。春の県大会を制した富山商業は、2回戦の未来富山戦で、昨夏は4番を務めるほどの打力を持つエース・藤岡大翔選手(3年)が先発。打線では7番に入り、試合途中から一塁の守備に回った。春の大会では、藤岡選手が先発する際はDHを使わず、他の投手が先発する際はDHを採用していた。前崎秀和監督は「打力に自信のない投手よりは打てる人が打席に入った方がいいので、先発投手次第でDH制は恩恵がある」と語る。
18日からは3回戦が始まる。DH制により戦術の幅が広がる中、各チームがどのような戦い方を見せるか、注目が集まる。



