第108回全国高校野球選手権大会第7日の11日、3年ぶり6度目の出場となる履正社(大阪)は、2回戦で享栄(愛知)と対戦し、6-2で逆転勝ちした。四回に2本の長打で勝ち越し、八、九回にはそれぞれ2点を加点し、突き放した。投げては先発の木村颯投手が要所を締める投球を見せ、167球で完投した。3回戦は大会第11日第3試合で三重(三重)と対戦する。
三木捕手のリードが光る
三木大亮捕手が描くシナリオが、先発・木村颯投手を2失点完投の好投に導いた。「キャッチャーは試合の脚本家」。往年の名捕手・野村克也さんの著書「野村の遺言」に感銘を受け、帽子のつばに「脚本家」の文字をしたためる。
打撃練習の時間を削って捕球の技を磨き、投手陣とは綿密なコミュニケーションを欠かさない。相手の心理を読む緻密なリードで試合を組み立て、チームを勝利に導くシナリオを練り上げてきた。
ビッグイニングにしなければOK
初回、大阪大会を含めて初めて相手に先制を許した。ピンチを背負っても「ビッグイニングにしなければOK」と慌てなかった。同じ履正社で捕手だった多田晃監督も「(投手の)失点が少ないのは三木の頑張りも大きい」とたたえる。
今夏は打撃でも好調を維持する。下位打線ながら大阪大会の打率は、チームトップの5割2分6厘。「調子はいい。大振りせず、コンパクトな打撃を心がけよう」。この日は、先制された直後の二回に同点適時打を放ち、打撃でもチームを先導した。
「甲子園でドキドキ、ハラハラするような試合をもっとしたい」。チームの脚本家が描くストーリーが、7年ぶりの「全国制覇」への鍵を握る。(山内浩平)
多田晃監督のコメント
多田晃監督は「簡単にはチャンスを作れないと思っていたが、終盤には狙い球を定め、盗塁も絡めた良い攻撃ができた。粘り強く戦えたことは自信になった。多くの人に応援してもらい、感謝の気持ちを持って次戦に臨みたい」と話した。
19年全国制覇時の主将も応援
履正社のアルプスでは、2019年の夏の甲子園で全国制覇した時の主将で、大阪市此花区の会社員野口海音さん(24)が応援に駆けつけた。野口さんは捕手として甲子園の土を踏み、決勝では星稜(石川)の奥川恭伸投手(現・ヤクルト)から打点を挙げ、優勝に貢献。卒業後は社会人野球の大阪ガスに進んだが、24年冬に引退した。
大阪大会は、仕事の休憩時間にライブ配信でチェック。甲子園も履正社が前回出場した23年以来、3年ぶりに訪れた。「大勢の人に囲まれて野球ができるのは幸せなこと。選手たちは悔いのないよう全力を尽くしてほしい」と、選手の全力プレーに拍手を送っていた。



