岡山県の邑久高校と瀬戸高校による合同チーム「邑久・瀬戸」は、2026年7月の夏の大会でコールド負けを喫した。しかし、その背景には部員不足を乗り越えた絆の物語がある。
苦しい立ち上がりも声で立て直し
試合は一回、二死から3連続適時打を浴びるなど5点を失う苦しい展開となった。そんな中、「後1人だ。大丈夫、大丈夫!」と今井珀翔三塁手(3年・邑久)がいつも通り嵯峨山大稀投手(同・瀬戸)を鼓舞。その声で落ち着きを取り戻した嵯峨山投手は後続を内野ゴロに打ち取った。
合同チーム結成の経緯
両校は昨夏後、部員不足により合同チームを結成。一緒の練習は土日のみで、当初は互いに壁を感じていた。しかし、秋の守備練習ではプレーを指摘しながら高め合い、鍛錬の冬は励まし合って乗り越えてきた。「本気でこのチームで勝ちたい」という気持ちが芽生えていた。
解散の危機と選択
状況が一変したのは今春。瀬戸に1年生5人が入部し、単独出場ができる11人になった。瀬戸の部員の中には単独出場を望む声も少なくなく、合同チームは継続か解散かで揺れた。「俺たちは瀬戸とやりたい」と今井選手らはグループLINEで思いをぶつけた。最終決断を託された瀬戸の3年生は「継続」を選択。「一緒にやってきた絆がある」と石原悠翔遊撃手(同・瀬戸主将)は語った。
恩に報いるムードメーカー
その恩に報いようと、今井選手はチームをひときわ盛り上げてきた。迎えた最後の夏はコールド負けだったが、「チームをまとめてくれる1番のムードメーカー」と瀬戸の選手が感謝する今井選手は、最後の瞬間まで声を張った。「もっとこの仲間と夏を過ごしたかった」。黒土がついた頬はぬれていた。(大村知輝)



