アジア競技大会(9月19日〜10月4日、愛知・名古屋)を目前に控え、ボクシング日本代表・岡澤セオン(30)が連載インタビュー第4回で心境を語った。国内でファンやスポンサーの前で試合をするのは約6年ぶりとなる。
金メダル宣言を封印した理由
岡澤は今の心境について「ドキドキとワクワク、半分という感じ」と表現。「最近では一番の準備ができているんじゃないかなという自信を持って今回の大会に臨めている感覚があります」と語る一方、これまでの大きな大会で言い続けてきた「(金メダルを)絶対取ります!」という言葉を今回は封印したことを明かした。
その理由について「こういう大きな大会って、何が起きるかわからないっていうのを自分自身が一番身をもって知っている」と説明。「やれるだけのことをやってきているという自信がある自分と、それでも失敗したらどうしようっていう怖さを抱える自分、その両方が入り混じっているのが正直な気持ちです」と本音を述べた。
日本開催への思いと準備
岡澤にとってアジア大会は「オリンピック、世界選手権と並ぶ大会のひとつ」であり、日本での開催は「国内でボクシングを広める上でものすごく大きな意味を持ちます」と語る。2021年の東京オリンピックは無観客で行われ、「たくさんの人に見てもらえるはずだったものがなくなって、あれは正直悔しかった」と振り返った。
現在は実際の試合会場がある愛知で事前合宿に入っている。これまではウズベキスタンでの合宿やオーストラリアでの実戦練習を重ねてきたといい、「各国から選手が集まってきて、そこでもギリギリまで手合わせして感覚を確かめられるのは、日本で開催されるからこその強み」と話す。
技術の進化と意識するライバル
パリ五輪からの変化について、岡澤は「技の引き出しは増えたと思います。近距離でもある程度対応できるようになったことが大きくて、以前より技の数も増えました」と説明。大橋ジムでプロボクサーとの練習を積み、「駆け引きの精度を意識するようになりました」と語った。
今大会で意識しているのは世界ランキング1位のトレカン選手。2025年の世界選手権決勝で3対2の僅差で敗れており、「すごく悔しい思いがあって。ぜひリベンジしたいですね」と意気込む。世界ランキング2位のゼヤド選手も意識しており、パリ五輪で敗れた相手だが、その後の世界選手権ではリベンジ。「対戦成績は2勝2敗。5回目の対戦になるので、対戦する時には勝ち越したいです」と語った。
メンタルを支えるアニメとファンへのメッセージ
試合前に見るというアニメ『王様ランキング』は「変わりません!試合の直前に見ようと思います」と強調。主人公のボッジについて「パワーではなく、避けて避けて避け続けて勝機を見つけるんですが、それが自分のスタイルに重なるところがあって」と説明し、「王様ランキングのボッジから力をもらい試合に挑みます!」と語った。
最後にファンやスポンサー、地元・山形の方々に向けて「本当に日本で戦える機会というのは久しぶりなので、皆さんに見てもらえるのはうれしいですし、ボクシングの面白さ、会場での興奮など面白さをわかってもらえるような大会にしたいと思っています。ぜひ、生で見てもらいたいです!」と呼びかけた。
岡澤セオンは1995年12月21日生まれ、山形県山形市出身。ガーナ人の父と日本人の母を持ち、本名は岡澤セオンレッツ クインシー メンサ。中央大学法学部卒業で、小中学校でレスリングを経験後、高校入学を機にボクシングを始めた。2021年AIBA世界選手権ウェルター級で日本人初の金メダルを獲得し、東京・パリ2大会連続オリンピックに出場。2025年World Boxing世界選手権70キロ級で銀メダルを獲得した。2026年9月のアジア競技大会で2大会連続の金メダルを目指すとともに、2028年ロサンゼルスオリンピックでの金メダル獲得を目標に掲げている。



