アイビーリーグが重視する「マルチタスク管理能力」とは?AI時代に必須のスキル
アイビーリーグが重視するマルチタスク管理能力

作家でプリンストン日本語学校高等部ディレクターの冷泉彰彦氏は、AI時代に求められる世界標準のスキルについて、アメリカの名門大学群であるアイビー・リーグ校の入試や入学後の時間割から分析している。冷泉氏によれば、今後は管理者の管理方法と管理の範囲がさらに拡大するが、日本の大学や高校ではそのためのスキルを鍛える機会が不足しているという。

自己管理能力は「マルチタスク処理」に表れる

アメリカの大学は受験生のスポーツ歴やアートの活動履歴を重視する。これは、個々の人材の実行力を見るためだ。これからのAI時代は、最高ランクの知性を持つ「第1グループ」だけでなく、十分な知性と実行力でAIを使う側に回る「第2グループ」が重要になる。その「第2グループ」に期待される「実行力」こそ、現在のアメリカの大学が重視するスキルそのものだと冷泉氏は指摘する。

冷泉氏は、アメリカでは大学は「社会に有為な人材」を送り出す場であるという意識が特に強いと述べている。そのため、ビジネスや行政の世界で成功しそうな「潜在能力」が重視される。学力に加え、コミュニケーション能力やリーダーシップの経験も評価対象となる。しかし、アメリカの大学が受験生に期待する「潜在能力」は、そうした漠然とした人物像だけではない。より具体的な問題として、「自己管理能力」がある。

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この「自己管理能力」には、宿題の締め切りに遅れない、大学の願書締め切りに間に合わせるといった「締切厳守」の側面がある。しかし、それだけではない。冷泉氏は、より大きな概念として、「同時並行的に多くのプロジェクトを進行させ、それぞれについて期日までに成果を出す」能力、つまり「マルチタスク管理能力」をアメリカの大学が非常に重視していると強調する。

アイビー校が求める時間感覚の正体

アイビー・リーグ校の入試や入学後の時間割には、このマルチタスク管理能力が色濃く反映されている。冷泉氏は、アイビー校が求める時間感覚の正体として、「忙しい日常」の中でいかに成果を出せるか、タスク一つひとつに「締め切り」や「競争」があることを挙げる。例えば、学生は複数の授業や課外活動、アルバイトなどを同時にこなし、それぞれの期限を守ることが求められる。

冷泉氏は、日本の教育ではこうしたマルチタスク処理の訓練が不足していると指摘する。日本の大学や高校では、単一のタスクに集中する機会が多いが、アメリカの名門大学では複数のプロジェクトを同時進行させる能力が自然と身につく環境が整っているという。

AI時代にますます求められる資質

冷泉氏は、AI時代にはマルチタスク管理能力がますます重要になると予測する。AIが単純なタスクを代替する中で、人間には複数の業務を調整し、優先順位をつけて実行する能力が求められる。管理方法と管理の範囲は拡大し、自己管理能力がキャリアの成否を分けると冷泉氏は警告する。

本稿は、冷泉彰彦氏の著書『世界の一流は「子ども」に何を教えているのか』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものである。

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