欧州を襲っている記録的な熱波は、各国で深刻な影響を及ぼしている。フランスではパリ市内で飲酒が禁止され、イギリスでは救急サービスが過去最多の要請に対応。ドイツやオランダ、スイス、スペインでも猛暑による死者や交通機関の混乱が相次いでいる。
フランス:パリで飲酒禁止、病院は飽和状態
フランス当局は26日から、パリ市内の公共の場における飲酒およびアルコールの販売を禁止した。これは、熱波による健康被害で医療崩壊の危機にひんしている病院への負担を軽減するための措置だ。パリ警視庁のパトリス・フォール警視総監は「医療施設の受け入れ態勢は飽和状態に達しつつある」と述べ、入院患者数が増え続けていると明らかにした。
一方、教職員組合は記録的な猛暑が続く中、「受け入れがたい労働環境」に抗議するためストライキを呼びかけた。組合側は共同声明で「職員や児童・生徒の健康、そして労働環境が危機にさらされている」と述べ、熱波に対する「明らかな準備不足」を非難している。
フランス電力(EDF)は、猛暑による河川の水温上昇を受けて、さらに2基の原子炉を停止。水温上昇により、環境基準を超えずに冷却水を排水する能力が制限されたためだ。これで停止された原子炉は計3基となった。
また、パリ郊外では3歳の男児が暑い車内に閉じ込められて死亡する痛ましい事故も発生した。男児は父親に昼寝をするよう言われたが、少なくとも45分間にわたって両親の目を盗み、車に乗り込んだ。車にはドアを内側から開けられないようにする「チャイルドロック」が設定されていた。
イギリス:6月の最高気温を更新、ロンドンで救急要請が過去最多
25日、イギリス南西部では気温が36.7度に達し、6月の観測史上最高気温を記録した。国内では前日に最高記録が更新されたばかりだった。首都ロンドンの救急サービスは同日、「猛烈な暑さ」が原因で、1日あたりの「生命に関わる救急要請」の数が過去最多を記録したと発表。24日だけでも、心停止や呼吸停止といった最も深刻な症例を含む「カテゴリー1」の通報に642件対応したという。
ドイツ:39度を記録、鉄道が移動自粛を呼びかけ
ドイツ気象庁の暫定データによると、南西部キルルラッハでは最高気温が39度に達した。これは2019年に記録された6月の観測史上最高気温39.6度に迫る数値で、専門家はこの週末に記録が更新される可能性があると指摘している。
国営ドイツ鉄道(DB)は、史上初の措置として顧客に対して移動を控えるよう呼び掛けた。森林火災や豪雨、雷雨による運行の乱れといったリスクが高まっていることを理由に、30日までの予約された乗車券などを払い戻す方針を発表している。
さらに、複数の屋外スポーツイベントも中止が余儀なくされており、北部ハンブルクでのハーフマラソン大会が中止された。当局は中止の理由について「救急・救助サービスの需要が急増するリスク」を挙げている。
オランダ:史上初の赤色警報発令、気温40度予想
オランダでは熱波による「危険な」状況が警告され、26日に向けて史上初となる「赤色警報(最高レベルの警告)」が発令された。オランダ国立気象機関は、一部の地域で気温が40度に達すると予測されることから、国内12州のうち8州を対象にこの警報を発令。「危険な状況です。政府や緊急サービスの指示に従ってください」と呼びかけている。警報は少なくとも27日まで維持されるという。
スイス:6月の最高気温更新、原子力発電所の運転縮小
スイス気象庁によると、25日に北部バーゼルで38度が観測され、6月としては国内の観測史上最高気温を更新した。これまでの最高気温は1947年の36.9度だった。また、フランス同様に河川の水温上昇を受けて、ベツナウ原子力発電所の運転を縮小することになった。暑さが続けば、原子炉を停止する方針だという。
スペイン:熱波関連の死者212人に
公的機関の推計によると、スペインでは21~24日までの4日間で、熱波に関連する死者が212人に達した可能性が出ている。



