クロマグロ回復が沿岸漁業を苦しめる矛盾、漁獲枠配分の不公平とは
クロマグロ回復が沿岸漁業を苦しめる矛盾

太平洋クロマグロの資源管理を協議する国際会議が2026年7月8日から14日まで長崎で開催された。国際的な数量管理の効果により、クロマグロ資源は回復傾向にある。しかし、この回復が沿岸漁業、特に定置網漁業にとっては新たな問題を引き起こしている。増えたクロマグロが網に入ることで、限られた漁獲枠を超えないよう逃がす作業が発生し、その際に他の魚も逃げてしまうという事態が生じているのだ。

不公平の正体は「過去実績ベースの配分」

漁獲枠の配分は一般的に過去の実績に基づいて行われる。しかし、資源が減少した後の実績では、漁場が限定される沿岸漁業は、広範囲を操業する大型漁船に比べて不利になる。これが沿岸漁業者の不満の根源だ。

日本の漁業制度は沿岸漁業者への配慮が十分とは言えず、沖合漁業との対立が深まっている。科学的根拠に基づく厳格な資源管理の下で、沿岸漁業者への漁獲枠配分が優先されていないことが背景にある。片野歩氏(Fisk Japan CEO、東京海洋大学特任教授)は、クロマグロの漁獲枠配分について「沿岸漁業者への配分を大幅に増やし、大型巻き網漁船の枠を減らすべき」と指摘する。これは漁業者間の問題ではなく、制度の問題であると強調する。

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漁業者間の争いが起きないノルウェー

ノルウェーでは、沿岸漁業者への配慮が徹底されている。同国のクロマグロ管理では、漁獲枠の配分が公平に行われ、漁業者間の争いはほとんど見られない。ノルウェーの事例は、日本の制度改善の参考となる。沿岸漁業者が安定して操業できるような枠組みが整っており、資源回復の恩恵を沿岸地域が享受できる仕組みが構築されている。

クロマグロの配分をどう変えるか

日本でも、漁獲枠配分の見直しが急務である。具体的には、沿岸漁業への配分を増やし、大型巻き網漁船の割合を減らすことで、不公平を是正できる。また、巻き網漁の水揚げが減れば、クロマグロの単価が上がる可能性がある。これにより、漁業全体の収益性が向上し、資源管理と経済的持続可能性の両立が図れる。

キャッチアンドリリースを公式に認める意義

さらに、キャッチアンドリリースを公式に認めることも重要だ。現在、定置網でクロマグロを逃がす作業は非公式に行われており、法的な位置づけが不明確である。公式に認めることで、漁業者が安心して資源保護に協力できる環境が整う。また、逃がす際の魚のストレスを軽減する技術開発も進められるべきである。

日本の漁業制度は、資源回復の成果を沿岸漁業者が実感できるよう、抜本的な改革が求められている。ノルウェーのような先進的な取り組みを参考に、持続可能な漁業を実現するための政策転換が必要だ。

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