熊本地震では、多くの入居者を抱える高齢者施設も被害を受けた。ただ、通常「3日分」とされる非常時の備蓄が、早々に尽きかける想定外の事態になった施設があった。地域の防災拠点も担ってきた場所で、何があったのか。
地震翌日には備蓄が尽きかけた
「備蓄の水と食料が尽きかけたのが地震翌日の昼。ギリギリの状態だった」
熊本県宇城市豊野町の特別養護老人ホーム「水晶苑」の副施設長、山下ますみさんは振り返る。
7月28日午後4時27分。夕食の準備を進めていた水晶苑を震度7の揺れが襲った。
鍋も皿もひっくり返り、約60人の入居者は大部屋の真ん中に身を寄せ合った。
通常の夕食は1人7皿ほどだった。しかし、停電と断水で調理はできず、備蓄食料を使うことになった。
倉庫にあった備蓄は「利用者・職員の3日分または利用者の6日分」。2リットルの飲料水のペットボトル540本、レトルトの白かゆパック720食とカレー120食、ふりかけ240パックなどを準備していた。
管理栄養士が監修したメニューで、利用者60人と職員約40人が3日間は乗り切れるはずだった。
想定外の事態、入所者の倍近い人数を収容
だが、そこから想定外の事態が起こる。
まず、近隣で被災した系列施…



