国の熱中症対策、死者減少へ戦略転換を 産経新聞社説
国の熱中症対策、死者減少へ戦略転換を

厳しい残暑が続くなか、熱中症対策の抜本的な見直しが求められている。25日には震災復旧が進む熊本県で最高気温が39度を超え、全国の広い範囲で猛暑日となった。気象庁によると、向こう1カ月の気温は全国的に平年より高い見込みで、熱中症の死者は近年9月も100人を超えており、引き続き警戒が必要だ。

高齢者の死亡が8割以上、エアコン未使用が課題

熱中症は地球温暖化を背景に増加傾向が続き、近年の死者数は年間千人を上回り、昨年は1500人を超えた。国は令和12年に600人程度に減らす計画を進めているが、現状では達成が難しい。亡くなった人の8割以上が高齢者で、部屋にエアコンがあるのに使わなかった人が多い。高齢になると暑さを感じにくくなるためだ。

自治体職員らによる見回りや声掛けが行われているが、担い手不足や負担が課題となっている。対策として、室温が高くなると自動的に稼働するエアコンや、体温上昇を知らせる腕時計型の機器の活用が提案されている。

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特別警戒アラート、運用開始から2年で一度も発表されず

熱中症の危険性が高いと予想される場合、国は予防行動を促す警戒アラートを発表しているが、家庭や一般企業での活用状況を検証する必要がある。最も危険性が高い特別警戒アラートは、都道府県内のほぼ全域で基準を満たすときに発表され、クーリングシェルターと呼ばれる施設が一般開放されるが、運用開始から2年たっても一度も発表されていない。発表要件の緩和など運用見直しが求められる。

地域差の原因解明へ疫学調査の推進を

都道府県別の死者数は東京や大阪が多いが、人口当たりでは年によって青森、秋田、鳥取、大分などが多く、地域差が大きい。高齢化や一人暮らしの割合などの要因が考えられるが、理由はよく分かっていない。疫学調査を進め因果関係を詳しく分析し、対策の手掛かりを見つけることが重要だ。国は地域の実態に応じた戦略を早期に打ち出し、死者数を減らすよう全力を挙げてほしい。

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