土佐清水市三崎の海中展望塔「足摺海底館」について、管理運営する県観光開発公社は18日、高知市で臨時株主総会を開き、30日付で営業を終了することを正式に決めた。今後、連絡橋を撤去する。国の登録有形文化財に指定されている海底館は残るが、地元の住民らからは営業終了を惜しむ声があがった。
再開断念の理由は連絡橋の老朽化
再開断念の最大の理由は、陸地と展望塔をつなぐ連絡橋(長さ54メートル)の老朽化。開発公社が2024年に強度を調べたところ、潮風などの影響で腐食が進み、「大人数が乗った場合、安全性が担保できない」という結果が出た。翌年には、海底館本体でもウニによる食害が原因で漏水し、補修工事のため約1か月間休館。その後、営業を再開したが、連絡橋の腐食が進んでいることが判明。5月1日から休館していた。
開発公社は、本体を改修し、連絡橋を架け替えた場合、約5億円が必要と試算。資金調達は難しく、再オープンしても採算が取れる可能性が低いとしていた。
地元からは惜しむ声と活用への期待
「海底館は、海のギャラリー、足摺海洋館(SATOUMI)とともに『竜串のシンボル』。残してほしい」と地元の男性は訴えるが、「クラウドファンディングや保存運動も考えたが、高齢者も多く、そんな馬力はない」とこぼす。
28年のNHK大河ドラマ「ジョン万」の放送で来場者の増加なども期待されただけに「応急修理で放送終了まで営業が続けられないものか」と嘆いた。
海底館が22年に登録有形文化財に指定される際、申請のための調査に当たった土佐清水市下ノ加江の1級建築士黒井博美さん(50)は「当時の建設技術を生かした、優れた建造物であることは間違いない。営業は別として文化財として活用する方法を考えるべきだ」と力を込めた。
連絡橋撤去は大河ドラマ放送後に着手
株主総会後、開発公社の二宮真弓社長は報道陣の取材に応じ、連絡橋の撤去について「ジョン万」人気で多数の観光客が訪れる可能性を考慮し、放映終了後に着手する予定とした。
二宮社長は「地元の人たちが愛着を持っていることは分かるし、再開に向けて検討したが、この判断となった。今後は文化的な価値を生かした活用策を考えたい」と力を込めた。海底館の塗装などの補修や、周辺をダイビングや写真撮影のポイントとして整備することも検討するという。



