この夏は、熊本県で大きな地震が発生し、甚大な被害を及ぼしました。また、千葉県などでも記録的な豪雨に見舞われ、県内各地で深刻な浸水被害がありました。被災された皆様には衷心よりお見舞い申し上げます。近年は地震だけではなく、地球温暖化の影響とみられる自然災害が頻発するようになっています。今回は、災害が起きた時に、暮らしを守るために必要な「お金の備え」について解説します。
地震保険は火災保険とセットで加入
日本は世界有数の地震大国です。国土技術研究センターによると、2011年から20年にかけて全世界で発生したマグニチュード6.0以上の地震のうち、17.9%が日本周辺で起こっています。南海トラフ巨大地震への警戒も強まっており、地震への備えは待ったなしの状況です。
マネー分野で「地震への備え」と聞くと、まず思い浮かぶのは「地震保険」でしょう。地震保険は、地震・噴火・津波を原因とする火災、倒壊、埋没、流出による建物や家財の損害を補償する保険です。地震による火災は、火災保険では補償されないので、地震による火災にしっかり備えるためには、地震保険に加入することが必要です。地震保険は単独では契約できず、火災保険とセットで契約します。
火災保険では、契約内容によりますが、火災だけでなく、風災、水災、盗難など幅広い自然災害や事故を補償します。今回の千葉豪雨で起きたような洪水被害の補償は、火災保険でカバーされます。水災などの自然災害に加えて、地震にもしっかり備えておきたい。でも、火災保険にしか入っていない。そんな場合には、地震保険は火災保険の契約期間中でも契約できるので、火災保険に加入する時に地震保険に加入していなかった人でも大丈夫です。
地震保険の契約金額ですが、契約できるのは、火災保険の契約金額の30~50%で、かつ、建物5000万円、家財1000万円までです。ですから、地震による火事で自宅が全焼したとしても、元の自宅と同じ金額で建物や家財を購入して、生活を元通りにできるわけではありません。地震保険の保険金は、被災後の生活を立て直すための資金として考えておくとよいでしょう。
また、地震保険では、損害の程度を「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の4種類に区分しており、どの区分に認定されるかによって、支払われる保険金の金額が変わります。全損は、地震保険金額の100%(時価額が限度)、大半損は60%(時価額の60%が限度)、小半損は30%(時価額の30%が限度)、一部損は5%(時価額の5%が限度)です。地震被害に遭った箇所は、スマートフォンなどで写真を撮っておきましょう。被害状況を保険会社に正しく伝えることで、損害の程度の認定がスムーズに行われやすくなります。なお、地震保険の保険料は、どの保険会社と契約しても同じなので、比較検討の必要はありません。
災害で不測の事態が起きた時の対処法は?
地震をはじめ、大きな災害が発生した時には、様々な不測の事態が起こります。不測の事態にどのように対処すれば良いのか、確認していきましょう。
●現金が必要なのに、被災でキャッシュカードや預金通帳、印鑑などを紛失してしまった場合
災害時には、キャッシュレス決済が使えなくなり、現金が必要になるケースもあります。もし、キャッシュカードや預金通帳、印鑑などを紛失してしまった場合には、金融機関で運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類を見せて、印鑑代わりに母印を押すなどの手続きをすれば、10万円程度なら引き出しができます。
●紙幣が破けたり、燃えたりしてしまった場合
災害に遭って紙幣が破れたり燃えたりした場合、残っている面積や状態に応じて銀行で交換してもらえます。日本銀行で交換するのが原則ですが、災害時などの特別なケースでは、一般の銀行でも交換してもらえることもありますので、最寄りの銀行に相談してみましょう。紙幣の面積が3分の2以上残存していれば、全額交換してもらえます。残存している面積が5分の2以上、3分の2未満の場合には半額として交換してもらえます。5分の2未満の場合は、残念ながら失効してしまいます。燃えて灰になってしまった紙幣は、その灰が紙幣だと確認できれば、面積に含めてもらえますので、箱に入れるなどして、なくさないようにしましょう。
●被災中にケガや病気をしたものの、マイナンバーカードや資格確認書がない場合
大きな災害が発生した地域は、「災害救助法適用地域」に指定されます。指定された場合、マイナンバーカードや資格確認書がなくても、医療機関の窓口で氏名・生年月日・連絡先・加入している医療保険の名称・勤務先などを口頭で伝えるだけで、保険診療を受けられます。住居が全壊・半壊している場合や、病状が重い場合などには、3割の医療費(自己負担分)の支払い猶予が受けられることもあります。
平常時にこそ、備えておくことが大切
災害は、いつ起こるかわかりません。ですから、平常時にこそ、被災した場合に備えておくことが大切です。
被災直後〜1週間を過ごすためのお金の備え
- ○千円札や小銭など現金を準備
災害時には、停電などの影響でキャッシュレス決済やATMなどが利用できなくなる恐れが高いため、あらかじめ現金を準備しておくと良いでしょう。
被災後1週間〜数か月を過ごすためのお金の備え
- ○生活防衛資金を準備
災害が起きると、まとまったお金が必要になることがあります。公的支援が受けられたり、保険金がもらえたりするケースもありますが、実際に支給されるまでには時間がかかるものです。まずは最低でも生活費の6か月分程度のお金を預貯金で確保しておきましょう。
- ○保険に加入しているかを確認し、加入している場合は補償内容を確認
災害に備えてどのような保険に加入しているのか、あらかじめ確認しておきましょう。保険に加入している場合は、どのような内容の補償が受けられるのかも併せて確認しておきましょう。
万が一の時に困らないためにも、日頃からしっかり備えておくことが大切です。



