女子が集まる理系学部と就職先のねじれ現象、大学の試行錯誤
女子が集まる理系学部と就職先のねじれ現象

「大学の工学部は本当に女子が少なかったんですが、IT企業に就職したら女性のエンジニアは割と多いです。プログラミングはデスクワークだから女子に向いている仕事だと思いますが、文系出身者が目立ちます。エンジニアになるのに情報工学に進学しなかったのは少し不思議です」——国立大学の工学部で情報工学を専攻し、IT企業に就職した女性はこう語る。

ITの現場だけではない。建設コンサルタントで女性の土木設計者も徐々に増えているが、大学の土木学科は実に女子が少ない。つまり、理工系の職場では女子が増えているが、大学の理工系学部は女子が少ないという「ねじれ」現象が起きている。なぜ、このような「ねじれ」は起きるのだろうか。

「出口」が見える分野に女子は集まる

芝浦工業大学の副学長・磐田朋子教授は、まずこう指摘する。「理工系の中でも女子比率に大きな差があります」

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女子学生が集まりやすいのは、化学や生物、環境系など「出口」が明確な分野だ。例えば、化粧品や食品、医薬品など、日常生活に関連する分野は女子にとってイメージしやすく、就職先も見えやすい。一方、情報工学や機械工学、土木工学などは、どうしても「マニアック」「男の世界」というイメージが強く、女子に敬遠される傾向がある。

情報工学はマニアックなイメージが強く、女子に敬遠…

実際、文部科学省の調査によると、2024年度の大学工学部の女子学生比率は約16%で、その中でも情報工学科はさらに低い。磐田教授は「情報工学はプログラミングやアルゴリズムなど、抽象的な内容が多く、具体的なイメージが湧きにくい。また、幼い頃からパソコンやゲームに親しむ男子が多いのに対し、女子はそうした経験が少ないことも影響している」と分析する。

小中段階からの「ロールモデル」と「手触り」

この問題を解決するため、各大学は試行錯誤を続けている。磐田教授は「小中学校の段階から、理系分野で活躍する女性のロールモデルを示すことや、実験や工作など『手触り』のある体験を提供することが重要」と強調する。芝浦工業大学では、女子中高生向けの体験イベントや、女性教員による出前授業を実施している。

就職をどう意識しているか

一方で、就職後の環境は改善されつつある。IT企業や建設コンサルタントでは、女性エンジニアや設計者の採用を積極的に行い、働きやすい環境を整備している。しかし、大学の理系学部に進学する女子が増えなければ、この「ねじれ」は解消されない。

ノンフィクションライターの杉浦由美子氏は「女子が理工系に進まない理由は、単にイメージの問題だけではない。家庭や学校でのジェンダーバイアス、理系科目に対する苦手意識、将来のキャリアイメージの欠如など、複合的な要因がある」と指摘する。

大学側の取り組みだけでなく、社会全体の意識改革が必要だ。女子が理系分野に進むことを当たり前にするためには、幼少期からの教育と、多様なロールモデルの提示が鍵となる。

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