女子が理系に進まない理由と大学の試行錯誤:建築・化学は人気も情報工学は停滞
女子が理系に進まない理由と大学の試行錯誤

理工系学部への女子進学率は分野によって大きな差がある。建築やデザイン系、生命・化学系のように、テレビドラマや漫画、身近な生活の中で女性が活躍する姿が思い浮かぶ分野では、女子比率は相対的に高い。1990年前後に女子の獣医学部への進学を促したのは、大学の獣医学部を舞台にしたコメディ漫画『動物のお医者さん』(佐々木倫子)のヒットだった。

イメージしやすい分野に女子が集まる理由

住宅や店舗の設計、インテリア、コスメにつながる化学など、「進学先=将来の仕事」が具体的にイメージできる分野には女子が集まりやすい。今も昔も化粧品メーカーへの就職は化学専攻の女子学生にとって「憧れ」の的だ。

逆に、土木工学や情報工学の領域など、「その学部を出たらどんな職業に就くのか」が高校生からは見えにくい分野ほど、女子の進学は伸び悩む。土木の設計などは女性にも適性がある職種だが、「高校の段階で、土木の設計をすることを想定する女子はまだ少ないのでは」と磐田教授はいう。

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実際の現場と高校生の認識のギャップ

実際の現場には女性の土木設計者も増えているが、高校段階では「土木の設計という選択肢」の存在がほとんど知られていない。建築学科は女子に人気があり、住居や店舗の設計をする仕事は昔から憧れの的だが、実際には競争が激しいのでその仕事に就いてキャリアを積むのは男女問わずハードルが高い。一方で、土木の設計ならば求人は十分にあり、建築コンサルタントも女子を採用したい方針だ。

医療系以外でも「手に職がつけられる」という進路が存在するのに、高校の段階で女子には見えていないのが現状だ。

情報工学はマニアックなイメージが強く、女子に敬遠

情報工学で女子率が低いのは、全体的な傾向だ。東京科学大学の情報理工学院の女子率は2025年度で7.1%。なぜこうなるのか。東京科学大学副学長の関口秀俊教授はこう話す。「一般的に情報工学は専門性が高いので、マニアックなイメージが強く、女子に敬遠されるのでは」

高度な数学やアルゴリズムに没頭するイメージが先行し、「自分には縁遠い」と感じさせてしまっている、という問題意識だ。

小中段階からの「ロールモデル」と「手触り」

この状況を打破するため、多くの大学が小中学生向けの出前授業や体験イベントを実施している。実際に手を動かしてプログラミングや実験を体験することで、理系分野への親しみを持たせる試みだ。また、女性研究者や技術者がキャリアを語るロールモデル講演会も増えている。関口教授は「小中段階から情報工学に触れる機会を増やし、女性の先輩が活躍する姿を見せることが重要」と指摘する。

文部科学省の調査によれば、2024年度の大学理工系学部全体の女子比率は約16%で、過去10年でほぼ横ばい。特に情報系は7%前後と低迷している。一方、化学系は約30%、建築系は約25%と比較的高い。この差を縮めるためには、高校生が具体的な職業イメージを持てるような情報発信と、早期からの体験学習が鍵となる。

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