知識量が多いと、人間は動けなくなることがある。西岡壱誠氏(一般財団法人ドラゴン桜財団代表理事)は、ラーメンの例を挙げてこの逆説を説明する。
ラーメンを食べ歩いてきた人の頭の中を想像してほしい。新しい店で一口スープをすすると、「うーん、スープに奥行きがないな」「もうちょっと魚介の香りが欲しいな」「麺の縮れが弱いから、このスープには合ってない」といった考えが浮かぶ。知識が豊富なゆえに、味わいを細かく分析してしまうのだ。
一方、ラーメンの知識がほとんどない人は、同じ一口で「うまい!」と感じて終わり。何も考えないからこそ、「うまい!」というシンプルな反応ができる。
「頭がいい人」は動けなくなる?
この違いは、実は知識と行動の関係を表している。知識量が多いと、人間は動けなくなるという。たとえば、子供の頃は人前で堂々と発表できていた人が、大人になって「こんなこと言ったら笑われるかも」「変なやつだと思われるかも」と気にしすぎて、話せなくなることがある。
他人の目線や社会的評価という「知識」が増えたことで、動きが鈍っていくわけだ。頭のよさが、かえって行動の足かせになるケースがあるのだ。
政治談議でも起こる思考のループ
政治について語るときも同じ構造が見える。「Aという政党のあの政策はいいな」と思っても、頭のいい人はすぐに次の思考へ進む。
「でも、この部分は問題あるよな」「自分は気にならないけど、こういう発言は誰かを傷つけるかもしれない」「そもそも、この党の別の政策とは矛盾してないか?」――。考え始めればきりがない。
次ページでは、これが会社で起こるとどうなるのかを考えていく。



