女子の理系進学が増加する背景
近年、女子学生の理工系学部への進学が増加傾向にある。従来、女子にとって理工系は「就職に強い」というイメージがありながらも、実際の進学率は伸び悩んでいた。しかし、最近の動向では、医療系学部の志望者減少と対照的に、理工系を選ぶ女子が増えている。その理由として、卒業後のキャリアの多様性や、専門性を活かした幅広い職種への道が開かれている点が挙げられる。
大学側の試行錯誤:小中段階からのアプローチ
芝浦工業大学では、附属の中学校・高等学校において、小学生の段階からプログラミングやものづくり系の授業を導入し、特に女子生徒に積極的に参加してもらう工夫をしている。同附属校は元々男子校だったが、共学化以降、「工学に興味があるから芝浦の附属に入りたい」と考える女子が増加。大学教員が中学校の説明会に出向き、保護者向けに「理工系に進んだ女子のキャリアパス」を具体的に紹介するなど、早期からのアプローチを本格化させている。
就職意識と進学選択の変化
長く続いた売り手市場を背景に、大学や学部選びで就職をあまり意識しない学生も増えた。心理学など、直接職業に結びつきにくい学部が人気を集めたのはその象徴だ。一方、理工系は事情が異なる。芝浦工大の新入生アンケートでは、全体として「就職率の良さ」を重視する割合が高いが、女子は「希望する学び・学部・分野があること」を理由に挙げることが多い。つまり、女子は将来の就職や経済的安定を考える場合、医学・薬学・看護学など医療専門資格を目指す傾向が強く、「専門性を身につけ就職で有利になるために理工系に進学する」という発想は少ない。
コロナ禍がもたらした医療系と理工系の明暗
コロナ禍で医療専門職の過酷さが注目された。新人薬剤師や看護師は重症化リスクが低いという理由で研修もままならないままコロナ病棟に配属され、その実情が明らかになった。この影響で、2026年の大学入試では医療系学部の志願者が減少し、代わりに女子の理工系進学者が増加している。磐田教授は「理工系の学びは卒業後の進路が一つに定まっているわけではなく、多様な業界や職種につながっており、キャリアの選択肢も幅広い」と指摘する。
AI時代の就職市場と女子高生の選択
AIの普及により、大学生の就職における売り手市場は今後続かないとされる。SBIホールディングスの北尾吉孝CEOは「AIの活用を推進し、採用は減らしていく」と発言し、クボタや大和ハウス、ENEOSなど大手企業も採用を抑制し始めている。こうした流れの中で、女子高校生も「将来の就職を考えて進学先を選ぼう」というトレンドが強まるはずだ。そのトレンドが、女子の理工系学部進学の機運をさらに高める可能性がある。
経済的自立と理工系進学の未来
結婚が女性にとって経済的な安定手段ではなくなり、女子学生の目標も結婚から「経済的に自立すること」へと変化している。彼女たちが将来をどう選択するか、注目が集まる。



