東京大学の合格者のうち、約6割が関東圏の出身であるというデータがある。この数字は、地方の受験生にとって大きな壁のように映る。しかし、一般財団法人ドラゴン桜財団代表理事で『ドラゴン桜2』編集担当の西岡壱誠氏は、地方の受験生が東大を諦める理由は「学力差ではない」と指摘する。
地方の受験生が抱える「比較対象」の欠如
西岡氏によれば、地方の高校生は自分を測る「ものさし」を持たないまま受験に臨むことが多い。東大を目指す際、自分がどの位置にいるのか、何が足りないのかを客観的に把握する手段が不足している。これが、才能や努力の問題ではなく、環境の差による「情報格差」であると同氏は主張する。
「地方の子たちが東大を諦めるのは、決して才能の差ではありません。『自分が東大に届くかどうか』を測るための“ものさし”を、誰も持たせてくれなかった——ただそれだけのことなのです」と西岡氏は語る。
比較対象を得る3つの具体的方法
では、地方の受験生はどうすればいいのか。西岡氏は意識的に「比較対象」を取りに行くことの重要性を説き、3つの具体的な方法を提案している。
1. 全国規模の模試を受ける
校内順位ではなく、全国順位を確認することが第一歩だ。河合塾の東大模試や駿台の東大実戦など、全国の受験生が集まる模試を受けることで、自分と同じ目標を持つライバルたちの存在を実感できる。「同じ会場に座っている受験生たちの顔を見るだけでも、『ああ、この人たちと自分は同じ土俵に立っているんだ』という実感が得られます」と西岡氏。
2. 東大生のSNSやYouTube、ブログを積極的に見る
最近では、東大生が日常生活を発信するコンテンツが数多く存在する。勉強の悩み、恋愛の話、アルバイトの愚痴など、等身大の姿を知ることで、東大生を神格化せずに済む。テレビが切り取る「天才のキャラクター」ではなく、素の東大生を見ることが重要だ。
3. オープンキャンパスや大学主催のイベントに足を運ぶ
夏休みの東大オープンキャンパスは、地方の高校生にとって最大のチャンスだ。実際にキャンパスに立ち、現役東大生の説明を聞き、構内を歩くことで、「ここに通う自分」を想像できる。「東大は『テレビの中の場所』から『行ける場所』に変わります」と西岡氏は強調する。費用や時間の制約があっても、高校3年間で一度は実物を見に行くことを勧めている。
比較対象が受験へのリアリティを変える
比較対象を手に入れることで、受験へのリアリティが大きく変わる。西岡氏は「ものさしさえあれば、地方の子たちは十分に戦えます。比較対象さえあれば、彼らは自分の現在地を知り、足りないものを補い、東大の門を叩くことができると僕は信じています」と結んでいる。
この連載では、受験勉強や教育に関する質問も募集している。



