東京大学理科三類(理Ⅲ)への合格者が実践していたという「問題を解いた後、ぼーっとする」勉強法が注目を集めている。一見非効率的に思えるこの方法だが、実は記憶の定着に極めて効果的だという。一般財団法人ドラゴン桜財団代表理事で『ドラゴン桜2』編集担当の西岡壱誠氏が、その具体的内容と効果を解説した。
「ぼーっとする」時間に何を考えているのか
西岡氏によれば、理Ⅲ合格者の一人は問題を解いた後、すぐに解説やノートを見ず、何もせずにぼんやりと過ごす時間を取るという。その間、彼は次のようなことを考えている。
- 「さっきの問題って、どこがいちばん難しかっただろう?」
- 「もし東大で似たような問題が出たら、自分はちゃんと解けるだろうか?」
- 「次に似た問題に出会ったら、最初にどこから手をつければいいだろう?」
- 「途中で詰まったあの場面、ほかにどんなやり方が考えられただろう?」
ノートも解説も、スマホも見ない。ただ頭の中で問題と向き合い続ける。その時間は、1問につき短くて2〜3分、長いと10分にも及ぶという。
「インストール」と「定着」は別の作業
なぜそんなことをするのか。西岡氏は合格者の説明を紹介する。「解説やノートを見ているときって、結局、情報を自分の頭にインストールしているだけなんですよね。でも、インストールする時間だけでは、頭はよくならないんです。インストールした情報を、ちゃんと自分の中に保存しなおすためには、その情報そのものと何も見ずに向き合う時間が、絶対に必要なんですよ」
多くの人は「頭が良くなっている瞬間」として、教科書や参考書を読む時、授業のノートを読み返す時、問題集の解説を読む時を思い浮かべる。読んでいる間は「ふんふん、なるほど」と納得しながら進み、勉強している感覚がある。しかし、西岡氏は「それだけでは不十分」と指摘する。
「アクティブリコール」で定着率が劇的に変わる
この方法は「アクティブリコール(能動的想起)」と呼ばれる学習テクニックの一種だ。情報を受動的に読むのではなく、能動的に思い出すことで記憶の定着率が大幅に向上することが、多くの研究で示されている。例えば、読むだけの学習と比べ、アクティブリコールを取り入れると長期記憶の保持率が50%以上高まるというデータもある。
西岡氏は「解説を読んですぐに理解した気になっても、それは一時的なもの。自分で考えて答えを引き出すプロセスを経ることで、初めて本当の理解と定着が達成される」と強調する。理Ⅲ合格者は、この「ぼーっとする」時間を習慣化することで、難関試験を突破する実力を養ったという。
実践のポイント
この勉強法を実践する際のポイントは、解説やノートを見ずに、自分の頭だけで問題を振り返ること。最初は数分でも構わない。徐々に時間を延ばし、問題の本質を掴む習慣をつけることが重要だ。西岡氏は「まずは1問から試してみてほしい。驚くほど理解が深まるはず」と語っている。



