次期学習指導要領の3つの懸念:教員負担・情報教育・学力低下論
次期学習指導要領の3つの懸念:教員負担・情報教育・学力低下論

次期学習指導要領で情報教育が大幅に拡充されることが検討されているが、その実現にはいくつかの懸念がある。英語では語彙リストを作り単語数を減らすこと、社会科では教科書の用語の精選が検討されている。歴史の授業で多くの用語を覚える経験は過去のものとなる可能性があり、教科書づくりや入試の変化も問われる。

教職員の勤務時間内での授業準備体制

調整授業時間数制度を活用しても、十分な時間を生み出せるかが課題だ。懸念されるのは、学習指導要領改訂後、子どもたちと教員の負担を大きくせずに授業を充実させるかどうかが、学校の裁量に委ねられ、「あとは学校の工夫次第」という言説が強まることだ。文科省の役割は、個々の学校の裁量を求めるだけでなく、勤務時間中に授業準備ができる環境や教職員数の整備にある。

現状では、週26コマ以上授業を担当する教員が小学校で約4割おり、授業を担当しない時間がほとんどないため、勤務時間中に授業準備ができていない。余裕のない状態では、教科書が精選されても、10教科前後を準備する小学校教員の過重労働は変わらず、教員人気も復活しないだろう。

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イギリスでは、授業の計画・準備・評価のための時間(PPA Time)として教授活動時間の10%以上の時間を学校が保証することが義務化されている。日本の学校では、授業を担当しない時間や放課後にも会議や事務作業、保護者対応、不登校支援などが入り、授業準備は夜遅くになる人が多い。

情報教育と教員確保の課題

情報教育や探究を充実させるには、専門性の高い教員の確保が最も重要だ。しかし、現状では情報の専門性を有する教員は不足しており、約25%が正規の免許がない状態で授業している(臨時免許状または免許外教科担任制度)。この状況には都道府県格差も大きい。

情報教育が強化されても、教員確保が間に合うかどうか。文科省は動画など教材を充実させると述べているが、知識の活用や探究的な学びには動画だけでは対応できない。探究的な学びについても、授業が詰め詰めで教員自身が探究する余裕がない状態では、良い指導は期待できない。

学力低下論への対応

次ページでは、学力低下論に対して説明していけるかという第3の懸念について述べる。

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