次期学習指導要領の懸念3点 画期的評価も楽観視できず
次期学習指導要領の懸念3点 画期的評価も楽観視できず

次期学習指導要領で情報教育が大幅に拡充される。文科省・中教審が検討中の案では、調整授業時数制度を活用し、週27コマの授業に加え、個々の子どもに応じた学習や教職員研修で1コマ、合計28コマといった運用が可能になる。これにより、子どもと教職員の「放課後」の時間が増える見込みだ。

画期的な評価も、懸念は3点

研究者や現職教員の中には「画期的」と呼ぶ声もある。学校ごと、教室ごとに子どもの強みや特性が多様な中、学校裁量を大きくして個別の学びを充実させる方向性には賛成の意見が多い。しかし、良いことばかりではなく、懸念点や問題点にも目を向ける必要がある。以下の3点を指摘する。

① 学習内容・教科書の精選は進むか

第1に、学習内容の精選が進むかどうか。SNSや現職教員からは「授業時間を減らしてもいいと言われても、教科書が終わらないなら削るのは難しい」との声が多く聞かれる。文科省は、学習指導要領の内容精選と教科書の重点化・内容精選をともに進めると明言している。

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前回の学習指導要領改訂では小学校の外国語(英語)が拡充し、中高の英語も難化した。一方で「あれもこれも重要」となり、何かを減らす検討が深まりにくいのがこれまでの文科行政だった。

今回、文科省は各教科で身に付けてほしい本質的な力(「統合的な理解」「総合的な発揮」など)を明確化し、それに沿って重点化を進めるとしている。教科ごとのワーキンググループで検討中の「統合的な理解」の案では、例えば中学校歴史(中世の日本)で「列島周辺地域との関係やユーラシアの状況を背景に、武家政治が公家や宗教を含めた多様な勢力との関係の中で展開されるとともに、民衆の成長や自立的な集団の形成が促されたことについて理解する」などとなっている。

「統合的な理解」「総合的な発揮」は抽象度が高くなりがちで、さまざまなものを包含しうる。これだけで教科書の重点化や精選の基準になるかは疑問視する声もある。文科省は調整授業時数制度を活用し、学校裁量で一部標準授業時数を下回った後の時間で教えられる教科書とするため、分量の精選を図る方針も打ち出している。

② 教職員が勤務時間内で授業準備できる体制をつくれるか

第2の懸念点は、教職員が勤務時間内で授業準備できる体制が整うかどうか。学校裁量が拡大すれば、個々の子どもに応じた学習を充実させるために教員の負担が増える可能性がある。放課後の時間が増える一方で、その時間を有効に活用できる環境整備が求められる。

③ 放課後の時間をどう活用するか

第3に、増えた放課後の時間を子どもと教職員がどのように活用するか。単に時間が増えるだけでなく、質の高い学びや研修につなげるための具体的な方策が必要となる。

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