面接では「バランスがいい」と評価される東大生でも、社会に出ると「思ったより活躍しない」と言われることが多い――。西岡壱誠氏はそんな観察を紹介する。「なんでもそこそこできるし、常識的で、視野が広くて、バランスがいい」というタイプは、減点しどころがないため面接で評価されやすいという。
だが西岡氏は、こうしたタイプが『PLUTO』のロボットに近いと指摘する。すべての選択肢が見えているため、どれを選ぶ理由も相対的に見えず、大きな決断を迫られる場面で微妙に手が止まる。極端に振り切れないのだ。
「バランスがいい」は褒め言葉ではない
バランスの良さは人間として美徳だが、社会で突き抜けるという一点では武器にならない。西岡氏は採用や仕事の現場で東大生を見るとき、「この人、明らかにおかしいところがあるか」をこっそりチェックしているという。
異常にゲームが好き、異常に電車に詳しい、異常に特定の学問に没頭している――周りが引くレベルで何か一つに振り切れている経験があるかどうか。そうした「極端さ」を持つ東大生は、すでに「考えないで走る」筋肉を趣味や没頭を通じて鍛えているから、社会でも活躍するとみる。
整いすぎた東大生は危険信号
逆に、経歴も性格も好みも全部きれいに整っている東大生には慎重になるという。頭がいいのは間違いないが、頭がいいだけだと、どこかで動けなくなる場面が来る。あくまで統計やエビデンスのない私見だと前置きしつつ、西岡氏は「一つの見方」として読んでほしいとしている。
採用担当や一緒に仕事をする立場なら、履歴書のスペックの裏側に「この人の明らかにおかしいところはどこか」という視点を持ち込むと、見えていなかったものが見えてくるかもしれない。自分がバランスがいいタイプだと思う東大生には、周囲に「バカじゃないの」と言われるくらい振り切れた没頭を意識的に持たせたほうがいいと助言している。『PLUTO』のロボットが目覚めるために必要だったのは、完璧なバランスではなく極端な感情のほうだったと締めくくっている。



