教員の体感は数字以上、多様な子をどう支える?個別支援の実情
教員の体感は数字以上、多様な子をどう支える?個別支援の実情

教室で起きている変化

「授業に集中できない」「友達との距離感がつかめない」――こうした子どもたちの様子を、教員は数字以上に実感している。北海道公立小学校教諭で公認心理師の山田洋一氏は、教室で起きているのは「問題のある子が増えた」のではなく、もともとあった多様性がむき出しになり、従来の一斉指導の枠組みでは支えきれない子が増えたという構造的な変化だと指摘する。

背景には、社会全体の変化がある。家庭環境の多様化、情報量の増大、コロナ禍を経た生活の変化、外国にルーツを持つ子どもの増加など、学校は社会の縮図というより、社会そのものの複雑さをもっている。文部科学省の「教育課程企画特別部会 論点整理(素案)」にも、こうした変化が反映されている。

個別支援が求められる理由

ある5年生の算数の授業。担任が板書を進める中、ノートを開けずに「固まっている」子がいる。実は、黒板の文字を写すことに強い負担を感じており、書き写すスピードが周囲より遅いことで自信を失っていた。一方、別の子は、説明を聞いている途中で違うことを考えてしまい、どこを学習しているのかわからなくなる。理解のペースが合わず、授業に参加できない状態だ。また言葉の意味がわからず、隣の子に聞こうとするも、教師に「説明は黙って聞きなさい」と指導されて、教室を抜け出すしかないという子もいる。

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このように、「同じ方法で教える」だけでは、学びに参加できない子が確実に存在する。特に近年は、刺激に敏感で教室のざわつきに疲れやすい、読み書きに特性があり板書中心の授業が苦手、見通しが持てないことへの不安が強くつい立ち歩いてしまう、話している人や見なければならない教具に注意を集中することが難しい、一つのことに集中しすぎて次の活動にうつれない、不安が強く朝の登校が難しい、家庭の事情で学習習慣が安定しない、日本語指導が必要で授業内容が理解しにくいなど、支援の必要性は多様化している。

形式的な平等の限界

今、教室では、同じ支援を全員に提供する「形式的な平等(一斉指導が長く続く状態が、その典型)」では子どもの学びを支えきれない現実が顕在化している。ある子にとって必要な配慮が、別の子には負担となる場面も多く、子ども同士から「ずるい」という声が上がることもある。教員の体感は数字以上に深刻で、個別支援の実情が求められている。

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