日本最難関の東大医学部(理Ⅲ)に合格した学生たちは、どのような勉強法を実践しているのか。一般財団法人ドラゴン桜財団代表理事で、『地頭力の正体』の著者である西岡壱誠氏は、毎年理Ⅲ合格者にインタビューを行い、その秘訣を分析している。その中でも特に印象的だったのが、「問題を解いた後で、ぼーっとする」という意外な勉強法だ。
「は?と思いますよね。僕も最初、聞き間違えたのかと思いました。ぼーっとするって、勉強と一番遠いことのように聞こえるはずです」と西岡氏は語る。実際、保護者が子どもの机を見て、ペンも動かさず教科書も開かず、ただ目を閉じて座っている光景を見れば、十中八九「ちゃんと勉強しなさい!」と声をかけるだろう。しかし、この方法は理に適っているという。
問題を解いた後の「何もしない時間」が鍵
具体的な勉強法はこうだ。例えば数学の難しい問題を1問解き終えたとする。多くの人はすぐに解説を読んで答え合わせをしたり、スマホで休憩したり、ノートに解き方をまとめ直したりする。ところが理Ⅲ合格者は、そのどれも行わない。問題を解き終えた瞬間、目を閉じて、何もせず、ただ解いた問題について考えるのだ。
西岡氏はこの行動を「インストール」と「定着」という2つのプロセスで説明する。知識を頭に入れる「インストール」は問題を解くことで行われるが、その知識を本当に使えるようにする「定着」は別の作業だ。ぼーっとする時間は、脳が情報を整理し、長期記憶に移すために必要なのだという。
「読んで終わり」が最ももったいない
多くの人は問題を解いた後、すぐに解説を見て「理解したつもり」になる。しかし西岡氏は、「読んで終わり」が最も非効率だと指摘する。解説を読むだけでは受動的な学習に終わり、能動的な思考が行われないからだ。一方、ぼーっとする時間は、自分がどのように考え、どこで詰まったかを振り返る能動的なプロセスを促進する。
理Ⅲ合格者は、この時間に「なぜその解法を思いついたのか」「別のアプローチはなかったか」を自問自答しているという。この内省が、応用力や思考力を高める「地頭力」の正体だと西岡氏は言う。
脳を動かすのに特別な才能はいらない
「頭がいい人」は、何もしていない時間に何をしているのか。西岡氏によれば、彼らは無意識のうちに知識を整理し、関連付けている。この習慣は特別な才能ではなく、誰でも実践できる。ポイントは、問題を解いた直後の「ゴールデンタイム」に、意識的に思考を続けることだ。
ぼーっとする勉強法は、一見非効率に見えるが、脳の仕組みに基づいた効果的な方法である。西岡氏は『地頭力の正体』で、このような「本当の頭のよさ」を身につけるための具体的なテクニックを紹介している。知識を定着させ、応用力を高めたいなら、まずは問題を解いた後、スマホもノートも見ずに、ぼーっとしてみてはいかがだろうか。



