静岡県は今年、公益財団法人「山田進太郎D&I財団」(東京都)と連携し、理系女子(リケジョ)の育成を本格化させている。日本の理工系分野における女性比率が経済協力開発機構(OECD)38か国で最下位と低迷する中、県内メーカーなどで活躍する女性職員を講師に招いた出前授業などを実施。中学・高校の女子生徒が理系職を進路として選びやすい環境を整える考えだ。
ヤマハ本社でイベント、約30人が参加
ヤマハ本社(浜松市中央区)で20日に開かれたイベントには、県内外の女子中学生や女子高校生約30人が参加した。参加者たちは女性社員とのトークセッションなどを通じて、理系の仕事への理解を深めた。
人事担当の藤原舞さん(44)は「男性が多い会社で女性が活躍できるのか心配という声を聞く。顧客の様々なニーズに応えるためには色々な人材が必要なので女性にもぜひ飛び込んでもらいたい」と語った。
参加した女子高校生(15)は「男性の多い職場かと思って不安もあったが女性が働きやすい雰囲気を知って、理系職で働いてみたいと思った」と話した。
国は新たな成長戦略にAI(人工知能)や半導体などを含む17分野を掲げているが、事業の柱を担う理系人材の不足が課題となっている。同財団の石倉秀明COOは「女性の理系進出は環境要因も重要。女子生徒が理系学部に進みやすいように手助けしていきたい」と力を込めた。
ロールモデル不在が課題、財団が提案
同財団は、社会課題解決を目的に、インターネット通販会社「メルカリ」の創業者・山田進太郎氏が2021年に設立した。大学や企業、自治体と連携し、女性の理系分野進出を支援している。
同財団によると、女性の理系分野進出割合は18・08%(23年時点)とOECD諸国の中で最低水準。原因として「ロールモデルの不在」や「将来のキャリアを具体的にイメージできる機会が不足している」ことなどが指摘されている。
同財団は2月、自動車大手のスズキや楽器大手のヤマハなど、理工系分野で活躍する人材が多い静岡県に着目し、連携事業を提案。同財団が県内大手企業に協力を呼びかけ、実施に至った。
今夏から県内の中学・高校に通う女子生徒向けの企業ツアー型体験プログラムなどを開始。今年はヤマハやヤマハ発動機、静岡ガス、静岡銀行、浜松ホトニクスなど8社が参加する。生徒たちは現場で活躍する理系職の女性社員と交流したり、仕事を見学したりできる。県の担当者は「大学で理系学部に進学した後のロールモデルを間近で見ることで、自分のなりたい姿を想像して、理系の進路を考えてほしい」と呼びかける。
県教委も座談会やセミナーを開催
女性の理系人材不足を受け、県教育委員会は今年度、女子生徒と女性研究者との座談会や保護者向けセミナーなどを開催する。県内の女性の大学進学者のうち理系が22・9%(24年3月卒業)と低調だったためだ。県教委の担当者は「進路決定には保護者の理解も大切。ぜひ一緒に参加して、理系学部への進学を考えてもらいたい」と話す。



