保護猫の過酷な運命描く 浜松舞台の小説『ごめんね、そら……』出版
保護猫の過酷な運命描く 浜松舞台の小説出版

静岡市出身で浜松市在住の作家・木下草介さん(58)が、浜松を舞台に保護猫を題材にした小説『ごめんね、そら…… ―ひとりぼっちの叫び―』を出版した。過酷な環境に翻弄されながらも、愛情を求め、懸命に生きようとする猫の姿を描いている。

映画脚本家が初の小説に挑戦

木下さんは1991年に日本大学芸術学部映画学科を卒業後、映画やテレビドラマの脚本を担当。その経験を生かし、初めて小説に挑戦した。物語は4章構成で、多頭飼いの民家から保護された猫「そら」を主人公に、そらを取り巻く人物が各章で入れ替わる群像劇に仕上げた。

浜松の自然と過酷な運命

遠州灘の海岸線や佐鳴湖など浜松の豊かな自然のなかで、里親の夫婦から愛情を受けて育つそらが、ある日突然、夫婦から引き離される。穏やかな生活は一変し、虐待や自然災害といった過酷な運命がそらを襲う――。暴力や飢えなどの凄惨な状況をリアルな筆致で描くことで、緊迫感に満ちた展開に仕上げた。

モデルは飼い猫、支援活動への思い

そらのモデルは木下さんの飼い猫で、7年前に出会った元野良猫の雑種「コテツ」。木下さんは「懸命に生きるそらの視点で読むことで、生き物の尊厳や弱い立場の人に思いを巡らしてもらえるとうれしい」と話した。

保護猫の支援活動を知るために木下さんが訪ねた浜松市動物愛護教育センターでは、飼い主のいない犬や猫の譲渡事業などを行う。センターによると、昨年の猫の引き取り数は前年比14頭減の217頭だったが、飼い主の高齢化などで飼育が難しくなったり、飼育できる家族がおらず保護が必要になったりして、引き取りを依頼されるケースが増えているという。

センターの担当者は「1頭でも多くの猫や犬が新しい飼い主のもとで暮らせるように取り組んでいきたい」と話す。